「ひざまる〜!!はやいよぉ〜!!」
「待て華!!どうしてそんなに早いんだ!?」
「おやおや・・・?何をしているんだい?」


庭から賑やかな声がすると、髭切は障子をあけて外を見た。
見えたのは楽しそうに走り回っている華と、
それを追いかける弟の姿。自慢の弟の機動力であれば
簡単に捕まえられそうなものなのだが、華を中々捕まえられないらしい。


「おひげ〜!!きゃー!!」
「おっとっと・・・!」


庭に下りてみれば、華が走り寄ってきてそのまま足に抱きつかれた。
後ろで息を切らせて追いついてきた弟の頭をぽんぽんと撫でてやる。


「おにごっこしてたの!ひざまるはやいんだよ!」
「なにを・・・言っている・・・本当に何故おいつけなんだ・・・」
「おひざ早いからお札つかったの!!」
「ああ、霊力で足をはやくしたんだねえ」
「それはズルと言うんじゃないか・・・・」
「ハンデってずおちゃんが言ってたもん!」
「ハンデ?」
「ハンデ・・・?」


楽しそうにしている華に膝丸はやれやれと苦笑し、
髭切はそういえばと何かを思い出したように部屋に戻っていく。
暫くしてまた華たちの所へ帰ってきた髭切の手には


「美味しい茶菓子があるんだよ。惣領と飛車丸と食べようと思ってたんだ」
「膝丸だ兄者。将棋をしていたんだな」
「うん。流石飛車丸だね」
「膝丸・・・」
「ほら、おいで惣領」
「うん!!」


部屋に二人が入るのを確認し、髭切は庭を見る。



「・・・惣領と弟に何かしたら、斬っちゃうからね・・・」


にこりと笑みを浮かべて、髭切は庭の有る場所を見つめてぼそりと告げる。


「兄者、どうしたのだ?」
「何でもないよ・・・今行くからね彦丸」
「ひ・ざ・ま・る!!」


髭切は笑顔を浮かべて、部屋の障子を静かに閉じた。

庭に何がいたのか、それとも何もいなかったのか。


それを知るのは、髭切のみ。







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