旋律




初めは何の興味も無かった。私は一人で生きており、向かう道は明白で、一人で生き抜く力を手に入れたと思っていた。


お節介な彼女は、何かにつけて私の心音を読み取って語った。私の鎖が奏でる音は冷たくて悲しいと言っていた……それでいて自然に溶け込む優しさを含んでいるようだと唱った。
意外なことに、見た目にそぐわないほど彼女はお喋りなようだった。しかし、それは相手にもよるのだと言われた時、何となくだが、近しい者の類を感じたのも事実……
迷惑に感じつつも話を聞いてしまう理由は、そこにあったのではないかと今でこと思っている。

不思議な人だ――

彼女の奏でる音色は聞く者を優しく包んで鋭気を治め、温かな音色で傷を癒すこともあるが、時に冷たく無慈悲に相手の闘志を挫くのだ。
その特殊な能力は、ある事件がきっかけで手に入れたものだと言う……

私は彼女の目的を邪魔するつもりも無ければ積極的に介入するつもりも無い。だが、彼女が目的を果たした暁にはこの笛の音が聴けなくなってしまうのは、ほんの少し寂しい気がした。


道行く人々の足音に耳を傾け、今まさに私を導く小さな背中が、妙に胸につく。
焦燥にも似た不思議な危惧を掌に握り締めながら……今の私の心音は何を語っていれのだろうかとふと考えた。




The tone is very soft…





2011/10/14
試作。まずは一番好きなキャラで書いてみようと思っただけ。
特に意味はない呟きですが、センリツの優しさにクラピカが癒されていけばいいなと思ったのも事実w







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