月の策士


――どうしてかな?――



小五郎さんがわたしを大切にしてくれているのは分かってる。
いつも優しく見守ってくれてて、いざという時には必ず側にいて、助けてくれる。
自惚れかもしれないけど……すごく好かれているんだと思う。
特別扱い……してもらってるように思う。

わたしも彼が大好きだから、些細なことが嬉しくて、話せるだけで幸せで……
自分も何かしてあげたくなって……でも何でもない時間も楽しくて……
何か役に立てた時は、もっと嬉しい。


でも、もっともーっと嬉しいのは……
小五郎さんの気持ちが聞けた時。

態度で示してくれることが多いけど、あからさまってワケじゃないから……
鈍いわたしは秘められた想いや優しさを、見逃してしまうことが多いみたい。
時間を置いてから判ったり、誰かに言われて知ったり……
いつも、後で気付く。


だから、気持ちをハッキリと口にしてもらえた時は最高に幸せ。
スッゴく恥ずかしい時もあるけど、嬉しくて嬉しくて……生きてて良かったなぁ〜なんて思っちゃう。
大袈裟かもしれないけど……それくらい嬉しくて幸せってコト。


でもね?それが滅多に無いんだよね……
ホント、たま〜に……何かの拍子にぽろっと口をついたりするくらいで。
聞き返すと誤魔化されちゃうし……

あとは凄〜く真面目な話をしている時とか。
そういう雰囲気じゃない時に告白してくるからズルい……



もっと、気持ちが聞きたいのにな……



――ねぇ、どうして?――



安心したいの。幸せに浸りたいの……


――どうして、言ってくれないの?――


我が儘だって分かってる……

でも、わたしのこと愛してるんでしょ?



だったら言葉で・・・ちゃんと思いを聞かせて?

お願い・・・

感じさせて欲しいの……





心の中で、こんなことを考えているなんて……

恥ずかし過ぎて、絶対ゼッタイ言えないけど……
でも、伝わったらいいのにと思ってしまう。


こんなわたし、イヤだなぁ……

我が儘で、自分勝手で……



嫌われちゃうかもしれない……

誰だって、束縛されたくないはずだし……



気持ちを押し付けてばっかりじゃ、
迷惑なだけ……




――でも……小五郎さんは?――


小五郎さんは、どう考えてるのかな?

わたしの愛情表現に満足してくれてるかな……

ちゃんと愛されてるって、感じてくれてるかな?


――そうだよね……――


自分のことを考える前に、まずは相手のことを考えなきゃ……

わたしだって、あんまり「好き」とか「愛してる」って言わないし……
思ってはいるけど、言わなきゃ伝わらないもんね。

態度で示すような難しいこと、わたしには似合わないから……

今度なにかの機会に伝えよう。


好きって……

ちゃんと、言葉で……

伝えたい――





2013.05.06 MEMO
2010年12月10日頃?に書いたもの。小娘ちゃんが桂さんに何かを仕掛ける話の序章なんだろうけど、なにが(どんな場面が)書きたかったのか思い出せない始末で…
タイトルに合ってないし、今のところ完結させられる自信がないので取り敢えずお蔵入り


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