episode.7 「なつきさん、どういうことですか。なつきさん?」 かわいい天使くんの声を聞きながら、私はまぶたを閉じた。 今はちょっと動悸がひどいから、天使くんの聞きたいことには答えられないんだ。ごめんね。 それに、寝たふりしないと、泣きたくなるんだよ。天使くんが全部悪いんだから、今は、お姉さんのお芝居に付き合ってほしいな。 「なつきさん──」 ふりのつもりが、本当に眠たくなってきた。 泣きたい気持ちは厄介だから、ちょうどいい。 もし、私が泣いてしまっても、この願いは叶えてくれなくていいよ。天使くん、困っちゃうから。 困らせたらそれはそれでかわいい反応するんだろうなって気はするけど、叶えないでね。 その代わり、せめて、私のお隣りさんでいてね……。 つづく [しおりを挟む] ← |