「写真、好きなんだね」 「え?あ、不二君」 偶然、週末の公園で彼女と会った。 そこで初めて、共通の趣味があると知った。 春にはチューリップ、夏にはヒマワリ、秋には紅葉、じゃあ冬には…? 音もなく、フラッシュだけが瞬いた公園。 手に持ったデジカメには、撮ったばかりのデータが写し出されている。 彼女は構えていた一眼レフカメラから目を離し、こちらに向かってムッと表情を怒った風にした。 そんな表情さえも写真に撮りたい、なんて言ったらまた君は怒るんだろう? 「今こっちを撮ったね、不二君。今日はせっかく雪が降ったから、その様子を撮影しようって…」 「うん、あまりにも君が可愛かったから。ちゃんと雪も入ってるよ」 僕の言葉に寒さで赤くなっていた頬が、どんどん染められていく。 そして僕は、また無意識の内にシャッターを切った。 (by 物書きさんに10のお題) END 2011/01/09 ←短編一覧 |