蛇苺に毒はあるか【1】-@


ヴォルは結局、ハリーのところを訪れるのをやめ、常に側にいることにしたらしい。確かにその方が魔力の供給が楽だし(ハリーが魔女であることはヴォルが説明した)、ハリーにとっても、唯一の話し相手が近くにいることは嬉しいことだった。

それから数年が経ち、ハリーは11歳の誕生日に、ついにホグワーツから招待状を受け取ることとなる。ホグワーツのことはヴォルからいろいろと聞いていたので期待に胸を膨らませるハリーだったが、まずは学用品を揃えなければならない。

ハリーは--正確にはハリーの肩に乗った小さなトカゲの姿をしたヴォルが、頑なにハグリッドの同行を拒んだため、一人でダイアゴン横丁に来ていた。彼は街にとても詳しかったので、ハリーは順調に必要なものを揃えることができた。


「制服の採寸も済んだし、杖も買ったし・・・だいたいいいよね。」
「ああ。だが帰る前に、その店に入れ」
「ここ、ってペットショップだよね?どうして?」


ハリーは店の中を覗き込んだ。何やら怪しげな魔法生物がたくさんいる。

「この体の寿命が近い。次の媒体を探さなければならん。恐らく、媒体は魔法生物である方が長くもつ」

「そっか、君、本当は魔法使いだもんね」

ハリーが店に入ると、やる気の無さそうな店員が面倒臭そうに「いらっしゃい」と言った。


「何がいいかな・・・寿命が長いなら亀とか?」
「本体の寿命が長ければいいというものではない。俺様の魂が入るのだ、ある程度の魔力は必要だ」「魔力・・・」

《ご機嫌よう、お嬢さん》

部屋の隅の方でかすかな声がした。

「ねえ、今声が・・・」
「お前、まさか、聞こえるのか?」
「え?・・・あっ、この子だ。《こんにちは》!」

大きな籠の中に、これまた大きな蛇がとぐろを巻いてハリーを見ていた。ハリーが挨拶すると、蛇はクツクツと笑った。

「魔法界の蛇ってしゃべれるんだね。知らなかったよ」
「蛇が人語を話しているのではない。お前が蛇語を話しているのだ」
「僕が蛇語を?でも魔法使いならみんな」
「話せない。ある種の才能だ。--特別な」
ヴォルの目がギラリと輝いた。

《君、名前は?》
《ナギニ。久々だ・・・私の言葉を解す者に会ったのは・・・貴女なら、私のよき主人となってくれそうだ》
《僕、蛇は嫌いじゃないよ。でもペットにするのは・・・》
正直なところハリーは伝書ふくろうが欲しかった。
《私にこの暗い籠で一生を終えろと・・・?ああ、私は貴女についていきたいのに》

「うう。どうしようヴォル」
「飼え。いいから飼え。」
「えーっ」


***

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