ぼくたちは恋しあう
11話
「傍にいて、抱き締めて、時間を共有することを許してくれる石田の想いが、伝わってくるから」
心臓が破裂しそうに脈を打つ。
まっすぐに自分を見つめてくる、どこか甘く切なげな色を湛えた琥珀色の瞳。
雨竜はぼんやりとそれに見惚れながら、今にも消えてしまいそうな小さい声で、呟いた。
「………僕だって………」
「石田?」
「君といるのが………好きだ」
思わず、場所も弁えずにそんな言葉を口にすれば、軽く瞠られた琥珀が、次にはうっとりと蕩けそうに甘い光を孕んだ。
「俺も好きだぜ、石田」
愛しい声が、耳を擽る。
好きだと一護が言ってくれる度に、自分の胸の中に、暖かい何かが芽を出していくような感覚があった。
そしてそれは彼がキスしてくれる度、ゆっくりと成長して開花していくのだ。
11/12ページ
[ 前 へ ][ 次 へ ]
[ 目 次 へ ][TOPへ]