22:07 #あなたをいつも書いてる小説風に紹介する 1
▼IDは伏せております。
君の隣で、ずっと共に四季を眺めていた気がす る。時間の流れ、その速さこそ、まこと信じられぬものだ。燦然と輝く笑顔の裏に、どんな悲哀や聲を潜めているのかを僕は知らないが、それだけ知っていれば構わないかなとも、思うよ。
ふら、ふらる。蒼穹を仰ぐと、真っ白な雲が散歩していた。気ままに、ゆったりと青の絨毯を歩いていく。その爪先が絨毯に触れる度、花びらが零れていくような気がした。雲、くも。歩いてきた跡を、色彩に溢れた花びらが記していた。
雪のような心は白く、桜のような聲は淡く、そして楓のような儚さで、君は僕を魅了した。どんな言葉をもってしても、君のぬくもりや優しさの程を、僕は表せない自信がある。僕は今を生きる君を感じている。向日葵のような笑顔を期待して。
桜色の町は、静かに涙した。春は、まだ来ない。厳しい冬が町を白く覆い尽くすだけの、寂しく虚しい季節だ。僕は、待っている。春の手を引いて、朗らかに「やあ、またきたよ」と笑う君を。この町の涙を拭ってくれる、その指先を。
君が心に鍵を掛けているのを、僕は知っている。錆びてしまわぬように、丁寧に手入れされていることも、閉ざした訳でもないということも。ただ、簡単には開かないだけだ。「頑固だね」君は笑う。「それが私の選んだことさ」と。
桃の花が香る朝だった。雨が淑やかに囁き、湖が深く青を吐息するそんな日に、僕は君の手に唇を落とした。忽ち紅潮していく頬を見て、僕は「初々しい君のままだね」と。ねえ、こんな幸福な科白をさ、繰り返していこうよ。僕と共に。
君は誰に恋をしているのだろうと思うことがある。創造すること、創造したもの? 吁、だけど近頃はこうも思うんだよ。君の眼が捉える、 創造に繋がる全てではないか、とね。否、それに恋しているのは、僕の方かも知れないな。
ほんのりと暗い、黄昏に佇む影絵のような人だった。僕が手を伸ばした瞬間に、影絵はくすりと妖しげに微笑んだ。「影絵じゃないわ」黄昏を背に夜を待つ君が、ひらり舞う。影はやがて呑み込まれ、僕は、やさしい絵本を思い出していた。
今日は、どの道を行く? 顔を覗き込むと、ううんと唸る君と目が合った。君がどんな道を歩いていくかは分からないが、僕は君の行く方へ共に。真っ直ぐに目標を見据えた人だから、見失いそうになったら、僕がその靄を払うだけだ。
花弁の散る頃を彷彿とさせる寂しげな瞳に、僕の息が詰まる。胸の、もっと奥から込み上げる君への言葉を、何度飲み込んできただろう、と思案する。僕は、君が瞳ではなく聲、言葉で語り掛けてくれるのを待っている。いつも、いつの時も。
カンバスを手に、君はその瞳に何を捉えるのか、僕には想像もつかない。ただ、君の描いていくその悉くが、僕の心を掴んでいた。やがては、この絵も椛の海を游ぎ出し、ゆらゆらとたゆたうのだろう。目映く輝く世界の隅で、椛がひらりと躍る。
いつも誰かと楽しそうにしている君を見ていた。とっくに僕たちは出会っているのに、なんて可笑しな話だろう。二人共、互いの距離に戸惑っている。僕が笑って欲しいと願う人。僕と笑って欲しいと願う人。だからもう少し、そちらへ行くよ。
君が描いた線を追う。君が乗せた色彩に立ち止まる。どんな気持ちを供に、その筆はこの平面を滑るのだろう。ただの線が重なり、やがて厚みを増す迫力に、僕は浅く呼吸を繰り返す。今にこの平面から、この線と色彩は起き上がる。生きていく。
大切に仕舞ったはずの、言葉を探している。膨大な図書の中から、あれでもない、これでもないと君はどんどん本を放り投げ、泣き出してしまった。君の言葉は、きらきらした、淡い泡沫。焦らないで、よく見て。僕と共に探そう。
男のくせに花の髪飾りでも似合いそうだな。そう言われ、首を傾げる君が見えた。確かに優しい花の似合いそうな男だ、と内心納得する。ペンを置いて溜息をついた時、休んだら? と導くあたたかな聲を、僕は嫌いになんてなれやしない。
硝子玉を西明かりに翳すと、それは美しくきらめいた。清らかな甘い光が、僕の瞳に差し込んだ。硝子玉が閉じ込めた赤、青、橙、その色のどれもが、僕の心にまで語り掛けてきた。ねえ、僕は、こんな小さな、可愛らしい宝物を持っている。
月の明るい夜、公園の遊具にちょんと座る、不思議な少女。寂れたこんな公園に、ひとりで何をしているのかと問うと、誰ぞを待っていると君は呟いた。「待つの、疲れたなあ」小さなその聲は、月にたすけてと咆哮しているような気がした。
不器用に、誰かを見守っている。そんな君を、僕が見守っている。「思い通りにはいかないものばっかり」自分を馬鹿ねと嘲るけれど、僕はとても、素敵な人だと思う。賢い生き方ではないだろう。それでいいよ。それがいいさ。
薄穂の揺らう頃、案山子の陰でひょっこりとこちらを覗く君に手招きをする。可愛らしい人だ。僕の額をこつんと小突き、貴女は笑った。「食べる?」白い満月を二人見上げながら、ずんだ餅を食むこの夜に、貴女は少し、眩しすぎるみたいだ。
吁、なんて安らぐ笑顔だろうと、僕も思わず微笑んだ。嫌だったこと、僕が顔をしかめていた原因って、何だったっけ。霜雪の降り積もる僕の心に陽が差す。君を抱き締めて、眠りたくなってきた。君は春ですか? いいえ、あひるです。
たんぽぽ、ぽん。真夏日に咲いたひとつのたんぽぽに、人々は足を止めた。 あれ、春に置いていかれたかい? と苦笑する人々の中に、僕はいた。ははあ、なるほど。しかしこれはこれで、可愛らしい向日葵じゃないか。たんぽぽは恥ずかしげに、えへへと笑った。
小川に笹舟を流す。ゆらりらと漕ぎ始めた笹舟の行く先を、僕は知らない。沈むか、それとも果ての海まで辿り着くか。沈んでしまう方が確率は高いのだろうけど、「いってきます」と笹舟は言ったから。僕は「さよなら」とは言わない。
一面の銀世界だ。眩んでしまいそうなその目映い世界に、僕は言葉を無くした。あまり自分のことは話さない君は、そうか。こんなにも美しい世界を秘めていたのか。「ようこそ」のんびり囁く、君の手のあたたかさに涙しそうだ。
たくさんの反応、ありがとうございました!
紹介というより恋文。
そう! プロポーズ集!_('ω'*_⌒)_
(こんなイメージのこんな人です。というコンセプトで。)