きらめきに誘われて 「こんにちは、僕のヴィーナス。今日も美しいね。」 「…変態は今すぐ帰って下さい。」 「ちょっとルーシィ、それは傷つくよ。」 「顔は嬉しそうだけどね。」 「まぁね、ルーシィと一緒だから。」 はぁ、と溜め息をつくルーシィ。 どうしてこの男はいつもこうなのだろうか。 「で、今日は勝手に出てきて何の用なのかしら?」 「ルーシィのそれ、持とうと思って。」 それ、とロキはルーシィの持っている買い物袋たちを指す。 「ありがとう!助かるわ。じゃあ、あと数軒寄ってもいいかしら?」 「どうぞー。」 ***** 「ありがとう!おかげで買いたい物全部買えたわ!」 「たくさん買ったねー。」 そう言って、ロキは自分の持つ袋とルーシィの持つ袋を見る。 ロキはまだ持てるのだが、ルーシィが自分も少しは持つ、と言ってルーシィも持っている。 「次はいつ買い物できるか分からないから一気に買っておこうと思って。それにしても、ロキ良いタイミングで来てくれたわね。」 「ルーシィが困っているときに颯爽と現れるのが僕だからね。それにルーシィのことは全部分かる。」 「うわっ、きたよ、変態発言。」 「例えばそうだなぁ、歩き方だけでルーシィって分かるのは僕ぐらいじゃないかな?」 「…多分人はそれをストーカーと呼ぶのよ。」 「愛の成せる業だよ。」 はぁ、と再び溜め息をするルーシィ。 ロキはいつもこうだ。 きっと他の女の子たちにも…。 「ところでさ、」 「何?」 「この後イルミネーション見に行かない?もしルーシィに時間があればだけど。」「えー、寒いから早く帰りたい。」 そっか、と残念そうな顔をするロキ。 あぁ、もう、 「…仕方ないわね、今日はお世話になったし。」 「本当!?ありがとう!」 仕方ないわね、なんて。 本当はもっとロキと一緒にいたいのに。 素直になれなくてバカみたいだ、私。 ***** 「イルミネーション、きれいねー。」 「そうだね。でも僕にはルーシィの方が綺麗だと思うよ?」 「……。」 おや、と首をかしげるロキ。 いつもなら「あー、はいはい。勝手に言ってなさい。」とルーシィが言ってくるはずなのに。 「ロキのそういうのって、どこまで本気なの?」 「…え?」 いつもと違う返答に驚きが隠せないロキ。 そんなロキを見て、一瞬顔を曇らせたルーシィだったが、すぐにいつもの笑顔を作る。 「…なんてね。言ってみただけよ、ロキはそういうこと女の子たちにたくさん言ってるんでしょ?」 さ、早く帰りましょ。と歩き始めたルーシィ。 待って、とロキはルーシィの腕をつかみ、そして咄嗟にルーシィを抱きしめる。 「ちょっと!離しなさいよ!」 「好きだ。」 「はぁ?あんた何言って…」 「全部本気。ルーシィ以外の女の子にそんなこと言わないし、しない。荷物持つのもイルミネーション見に来るのも、ルーシィだけなんだ。」 好きだよルーシィ、と今度は耳元で。 ルーシィの頬は一気に真っ赤に染まる。 「分かり辛いのよ、バカ。」 「うん、ごめん。」 ねぇ、キスしていい? そう言うロキに、こくり、と首を縦に動かす。 きらめきに誘われて、見つめ合った一呼吸後、2人はそっとキスをした。 |