「ガジルー!私と一緒に雪だるま作ってくれない?」 「嫌だ」 「ね、お願い?」 「嫌だ」 「お願い、お願い、お願い!!」 「……ッチ。手伝ってやるよ」 「ありがとう!」 ね、こうしてると暖かい ことの起こりは30分程前。朝から降り続いていた雪はやみ、外は程よく雪が積もっていた。 窓からその様子を見たミラジェーンが"雪だるま作り大会をやりましょう"と言ったのがきっかけだった。 当初は乗り気ではなかったメンバーもミラジェーンが"面白くするために男女1人ずつのペア参加にして、一番上手に作れたペアには景品を出すわよ"と言った瞬間盛り上がり始めた。 その時はまさか自分が参加するとは思わなかったが……しょうがない、レビィの頼みだ。 「ガジル!ボーっとしてないで作ってよ」 「あぁ、やるやる」 ガジルは下作ってね、私は上作るから。 そう言われたからしばらく雪玉を転がしていたが……レビィの作っている上の玉に比べて自分のは大きすぎる。 どうするか・・・、とガジルが考えていると後ろから大きな怒声が聞こえてきた。 「ちょっとナツ!何回言ったら分かるの!炎出さないでってば!」 「しょうがなぇだろ、癖なんだから」 「治して!今すぐその癖治して!」 「いや無理だから…」 火竜とバニーか。いつも通り騒がしい奴らだな。 「ジュビア、水になると雪溶けるんだって!」 「すすす、すみません。つい緊張しちゃって」 「あ?なんで緊張すんだよ」 あっちはジュビアとグレイか。緊張の理由はお前が原因だな、とこっそり呟く。 「あー!ガジルまたサボってる!」 しばらくギルドの様子を見ていたが、レビィに休んでいるのを見つかってしまった。 「サボってんじゃねぇよ。お前の雪玉が大きくなるの待ってんだよ」 お前の、俺のに比べて小せぇんだよ、と言えば、だって、と頬を膨らませるレビィ。 「雪玉重たいんだもん」 「チビだから力ないもんな」 「チビじゃないし!」 その反応が面白くってギヒヒっと笑う。そんなガジルの様子を見て、もういい!っとレビィは自分の作業に戻った。しかしレビィの作った雪玉はもうレビィの手に負えるものではなく、転がすことが困難だった。 しょうがねぇなぁ、とガジルはこぼし、レビィの隣に立って一緒に転がした。 「…手伝ってくれるの?」 「景品欲しいからな」 そう言った後、2人は雪玉を転がし始めた。 「あったかいねぇ」 「おう」 あの後、レビィと雪だるまを完成させた。作った自分で言うのも恥ずかしいが、形も大きさも他のに比べて良かった。そのため優勝は俺たちになったのだが…… 「景品ってココアかよ」 「いいじゃん、あったかいし。それに私、ガジルとやれて楽しかったよ」 「なっ…!お前さらっと恥ずかしいこと言ってんじゃねぇよ!」 恥ずかしいこと・・・?とレビィは首をかしげた。 天然かよ、とガジルは心中で呟くがレビィの言葉が頭から離れず、さっきよりも少しばかり鼓動も早くなる。 「ね、ガジル」 「あぁ?なんだよ」 「こうやって2人でココア飲んでても暖かいけど、」 こうするともっと暖かいかも、とレビィはガジルの手に自分の手を重ねた。ドキンッとガジルの胸が大きくはねた。 「ね、こうしてると暖かい」 「あぁ」 そう言ってガジルは内心の動揺を隠しつつ、重ねていただけの手を絡ませてそっとレビィに寄りかかった。 |