あのときの彼女は


「……ヒューズ、ヒューズ!ヒューズ!!"スッゲェ"の見つけましたー!」
「"なりきり役者ボックス さぁ素敵な姿に…"おぉ、スッゲェ!懐かしい!」

かつて遊園地だったところは王の提案により、新しい娯楽施設に生まれ変わる。
そのため、自分とココはその片付けと準備の手伝いをしていた。
新しく何になるのかは教えてもらっていないが、きっとスッゲェ楽しいものに違いない。

「スッゲェな、ココ!スッゲェよ!」
「ふっふ〜ん」
「こうやって、中に入るとだな…」

扉を開けて中に入ると暗闇に包まれる。
そうして身を委ねて暫く経つと…

「じゃじゃーん!…て、無理なのか」

魔力がない世界は不思議と直ぐに馴染んだ。
けれどたまに魔力があるかのように思ってしまい、こうして酷く虚しくなる。
ずっと様子を見ていたココは悲しそうに顔を歪めた。

「ヒューズ…」
「わりぃ、ココ」

しょんぼりとした顔は彼女に似合わない。
ぽん、と頭に手を乗せて、そういえば、と思い出した。

「これ、アースランドのルーシィも使ってた」
「お姫様ですかぁ!」

姫…?
黙っていればそう見えなくもない外見だった気がするが、彼女はもっと、活発な…スッゲェ奴だった。

楽しそうに箱を明け閉めするココの顔には笑顔が戻っている。
そういえばココは、彼女に憧れているとか言っていた。

スッゲェ、な。

この箱を使っていた時の彼女はどんな顔だったか。
スッゲェ笑顔だったらいい、そう思いながら目を閉じて記憶を辿った。




ヒューズ祭提出作品です。
ココ可愛い。

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