カウントダウンは始まった



(スッゲェ、最悪なんですけど)

自分が隊長を務めている第三魔戦部隊以外は、ギルド潰しのため全て遠征中で。城内の兵士不足を補うため、何故か隊長である自分も城内警備、しかも深夜の警備に駆り出されていた。
ふぁ、と口から漏れる欠伸を抑える気はない。誰も見ていないし、眠いものは眠い。

(ギルド狩り、スッゲェしたいのに)

エドラスの魔導士ギルドに解散命令が出されたのは1週間ほど前。予想通り多くのギルドが抵抗しているので、他の魔戦部隊は鎮圧のために遠征した。
勿論、ギルド狩りなんてスッゲェ面白そうなことに自分も参加したいが…生憎、自身の魔法であるコマンドタクトは城内専用であり、そのため受け持つ第三魔戦部隊は城内の守りに特化していて遠征向きではない。

(つーか、今のオレ、スッゲェ弱くね?)

魔力のいらない防具や武器だけでなくコマンドタクトも部屋に置いてきた。誰かが侵入してくるとは思えないし、他の部隊からの兵士がいないので確かに人数は不足気味だが基本的には第三魔戦部隊のみで城内の守りは完璧だ。エルザやリリーもいないし、こんな呑気な姿で見回りをしていてもそれを咎める人はいまい。

(いや、王にバレたらスッゲェ怒られる、か…?)

やはり部屋に戻って出直すか、と振り向いたとき。
持っていた光が、何かに反射した。

「金…?」
「ヤバ、見つかったか」

とは言うものの、その声の主は逃げないらしい。というより、自ら光の中に入ってきた。

「コンバンハ」

ニヤリ、挑発するように言ったのは、金髪がスッゲェ女の子。腰の辺りは鞭らしき武器を持っている。闘ったら絶対自分の負け。スッゲェ自信ある。

「侵入者、かな?」
「それ以外ねぇな。どうする?捕まえるか?」
「ん、それスッゲェ無理。オレ丸腰だから」

だよな、と笑う彼女は始めから分かっていたらしい。

「ま、これから侵入てとこだったわけだし、見逃しても大丈夫だよ」
「それ聞いてスッゲェ安心。もしかして、このまま帰ってくれるわけ?」
「見つかったし、そうするつもり」
「じゃあ、ついでに侵入の目的とか教えてくれるとスッゲェ嬉しい」
「…ギルド潰しに抵抗するための資料探し、かな」

それだけ言うと、じゃあな、と女の子は消えた。なかなかに男らしいスッゲェ女の子だった。それに、まさか自分の部隊の目を盗んでの侵入とは。

(部隊に対して過大評価してたのか…編成とか見直すべき?それスッゲェめんどくさいな。…あの子がスッゲェ、てことで)

ギルド狩りに出かけた仲間を脳裏に浮かべる。あの子のいるギルドの担当は誰だろうか。スッゲェ梃摺るに違いない。

(エルザだったらスッゲェ面白そうだけど)

あの綺麗な顔立ちがあの子のせいで歪むと思うとスッゲェ笑える。ふ、と鼻で笑って来た道を戻った。




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