天に輝くその川に
今日こそは、とそっと願った

振り仰いだ空の星



「わ、見て!星がきれい!」

ギルドを出た瞬間、仄かに熱と湿気を孕んだ空気がグレイの肌に触れる。
約半年ぶりのその感触に、暑苦しい季節の到来を感じた。

「おーきれいきれい」
「…心がこもってないし」

ぷくっと頬を膨らませるルーシィに、つい、ぽんと頭に手をのせた。
そのまま乱暴に髪に触れ、帰るぞ、と声をかけて先に歩き出す。
待って、とルーシィの声と小走りの音がした。

「やっぱり星きれい!こういうの、星降る夜、って言うのかしら!」

あれがはくちょう座で、あれはこと座で。
空を見ながら歩くルーシィは足元がおぼつかない。
見かねて、危ないぞ、と声をかけるが大丈夫ー、と呑気な返事。
そうですか、と返事をしようとしたその矢先、あっ、と小さな悲鳴が聞こえて、慌てて傾いているルーシィの体を持ち前の運動神経で抱き止めた。

「危ないって言ったろ」
「ごめん」
「気をつけろ」
「ん」

行くぞ、と声をかけると、しょんぼりした様子で後を着いてくるルーシィ。
しょうがねぇな、と呟いた。

「手」
「て?」
「手ぇ引っ張っててやるから星見てろ」

ぱぁ、と喜びがその顔に広がる。
ありがとう、と笑顔で言われ、なんだか気恥ずかしくて視線をそらせば綺麗な星空。
思わず見とれていると、その様子に気付いたルーシィが、ね、と言った。

ルーシィがいるから、いつも以上に綺麗に思えた、なんて考えてる俺は、ルーシィのことが好きすぎると思う。




七夕のグレルver.

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