「ルーシィこれなんだ?」
「どれが?」

ナツが指したのは曇ったガラスに描かれた落書きだった。それは二等辺三角形の下に直線をおろした簡単な傘で、直線の両側には"ジュビア"と"グレイ様"が書いてあった。

「多分、ジュビアが書いたんだと思うけど……何かしら?」
「何か分かんねぇけど、ジュビアの名前のところルーシィに変えちまうか」
「じゃあグレイのところはナツね」


相合傘



ナツとルーシィは仕事の帰り道、先日見た落書きについて話していた。

「何だったのかしら、あの絵」
「特に意味ねぇんじゃねぇの?」

あの落書きを見てから数日経っていて、窓の落書きは既に消えている。

「そうなのかなぁ……ってナツ?」

ナツは足を止めて、公園を見ていた。

「どうしたの?」
「あれ」

そう言って指で示した先には公園の地面に落書きをしている女の子がいて、描いているのはこの間の落書きと同じものだった。

「ナイス、ナツ!」

*****


「それなぁに?」

いきなり話しかけたら怖がられるかな、と思いながらルーシィは女の子に話しかけた。女の子はきょとんとした表情でルーシィとナツを見た。

「相合傘だよ」
「相合傘ってどんな意味があるの?」
「この傘の下に書いた名前の2人はラブラブなんだよ」

ラ、ラブラブ!?だからジュビア…!あぁ、どうしよう!恥ずかしいこと書いちゃった!

慌てるルーシィに対して、ナツはいつも通りだった。

「じゃあ俺たちの名前書いて正解だったんだな」
「……なんでよ」
「仲良しってことだろ?」

ナツの表情はいつもの無邪気な笑顔で、それがルーシィには無性に悔しかった。
だからかもしれない。

「ルーシィ何やってるんだ?」
「相合傘書くの」

手に枝を持って、ルーシィは地面に大きく相合傘と"ナツ"と"ルーシィ"を書いた。
いつか、そうなれますように、と願いを込めて。





2月1日〜2月8日拍手小説
いつも以上に残念さが感じられます。

ジュビアごめん。

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