I want this one.



「な、何?」
「いや、別に」
「そう…」

ジーッとルーシィを見るグレイ。

「そ、んなに見られると・・・恥ずかしいんだけど」
「へぇ」

顔が赤くなり、居心地の悪さからもぞもぞと動くルーシィ。

「…」
「………っぷ」
「ちょっと!なんでいきなり笑うのよ!」
「いや…だって…っぷ」

しばしの沈黙の後に笑い出すグレイ。一体何なのよ!とルーシィは怒った。

「いや、ルーシィって見た目のわりに純情だから面白くって、可愛いなって思ったんだよ」

何言ってんのよ、と頬を赤くしながらルーシィは答えた。

「おい、変態」
「あぁ?」

グレイに声をかけたのはナツで、機嫌が悪そうだった。

「何してんだよ」
「見て分かんねぇの?ルーシィとお喋り」

な、とルーシィに同意を求めるグレイに対して曖昧に笑ってお茶を濁すルーシィ。
そんなルーシィを見てナツは舌打ちをした。

「何よ」
「別に」

そう言ってナツはルーシィの隣に腰を下ろした。
3人の間に暫く沈黙が流れたが、そういえば、とグレイが口を開いた。

「ギルドの近くに新しくケーキ屋ができたんだってよ」
「ケーキ屋さんが!?行ってみたい!」
「じゃあ明日にでも俺と行かねぇ?」
「本当!?行「ルーシィ、明日は俺と仕事」

むすーっとした様子でナツが会話に割り込んだ。

「そうだっけ?」
「あぁ」

明日は仕事が入ってないと思ったんだけどなぁ、とルーシィは思った。

「ごめんね、グレイ。せっかく誘ってくれたのに」
「気にすんな。仕事が終わってから行けばいいさ」

そんなことより、とグレイが続けた。

「この前の仕事で依頼人に手相見てもらったんだよ。それでちょっと教えてもらったんだけど、ルーシィの手相見るか?」
「ありがとう!」

そう言ってグレイへ手を伸ばすルーシィ。グレイがその手を掴もうとしてパチンッと音がする。ナツがグレイの手を叩いた音だった。

「さっきから何したいんだ、ナツさんよぉ」
「知らねぇ」

自分にだって分からない。なんでこんなに心がもやもやすんだ。

不機嫌を隠そうとしないナツの様子を見てグレイはこっそり溜め息をこぼし、立ち上がった。

「俺、ジュビアに用があるんだった」
「ジュビアに?」
「あぁ。それに勘違いで馬に蹴られるのはごめんだからな」

そう言ってグレイはその場を離れた。

「ナ、ナツ?」
「あぁ?」
「なんでそんなに怒ってるの?」
「怒ってねぇし」
「いや、そういうのを怒ってるって言うんでしょ」
「……」
「ねぇ、何で?」

ナツの顔を覗き込むルーシィ。
その顔には心配そうな表情が浮かんでいた。

あぁ、これだ。とナツは思った。

「なぁ、ルーシィ」

ナツは先程のグレイのようにルーシィを見つめ、髪に手を伸ばした。蜂蜜色のそれは、さらさらしていて指から零れ落ちる感覚がナツは面白かった。

「いきなり何よ」
「いや、別に?」

そう言ってナツはルーシィの顔を見た。その顔は、グレイのとき以上に赤くなっていた。

これだ、と今度はニヤリと口角を上げる。

心配するのも赤くなるのも全部、
「俺のせい」がいい




"好き"の気持ちに気付かないのに、嫉妬は一人前のナツ君でした。

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