「ルーシィ、これ見て!おいらそっくり!」 「おっ!これうまそう!」 「……あんた達ちょっと落ち着きなさいよ」 こっそりお揃いナツとハッピー、ルーシィは3人で仕事へ行った帰りに外国の珍しいものが売っている市が開かれることを聞いて遊びに来ていた。 「ルーシィ、これすげぇ!」 どれ?とナツに近づくルーシィ。 「このグラス底に穴が開いてて、でも口がねぇんだ」 「…そうね、不思議だと思うわ」 すげぇよなぁ、と1人で感動しているナツ。 「おいら、ナツに本当のこと言わないほうが良いと思うんだ」 「私もそう思うわ」 何か面白いものないかな、とルーシィは辺りを見渡した。 「あ!」 「どうしたんだ、ルーシィ?」 「これ可愛い!」 見て、とナツとハッピーにそれを見せる。 「呪いの人形か…?」 「おいらは呪いのストラップに見えるよ」 「なんでよ!こんなに可愛いのに!」 「可愛い…か?」 「猫のおいらには分かりかねます」 「この可愛らしさが分からないなんて…!」 欲しいなぁ、と呟くルーシィ。 「そんなに欲しいなら買えばいいじゃねぇか」 「そうなんだけど…ちょっとお金がね」 「そうか?」「ルーシィ貧乏だね」 値札に書いてある数字はそんなに大きくはなかった。 「ナツが物を壊して報酬減らすから家賃が大変なの!削れるところはしっかり削らないと」 でも、とルーシィはしばらくそれを見つめる。 欲しいなぁ。でも家賃が払えなくなったら困るし…。 「買うのやめるわ」 そう言ってルーシィは手に持っていたストラップを元の位置に戻した。 「ホントに良いのか?」 「おいらのお金貸すよ?」 「良いのよ。ほら、もう電車の時間だから行きましょ」 ルーシィは名残惜しそうにもう一度そのストラップを見て、2人に背を向けて歩き出した。 「ねぇ、ナツ」 「ん、分かってる」 そう言ってナツは手に桜色と金色の2つストラップを掴んだ。 「どうしたの、2人とも。来るのが遅いから心配したじゃない」 ルーシィはすでに電車に乗り込んでいた。 「ルーシィ、これ、電車出発する前に渡しとく」 「何、これ?」 ナツが差し出したのは小さな紙袋だった。 「いいから開けてみろよ」 ナツに促されてルーシィは袋を開けた。 「これって・・・」 そこには桜色のルーシィが買わなかったストラップが入っていた。 「俺のせいで報酬減ってるから、それぐらいなら・・・」 「うん。ありがと、ナツ」 そう言って笑ったルーシィの顔が眩しくて、ナツはルーシィから顔をそらした。 ナツの背中の荷物には金色の、ルーシィと同じストラップがぶら下がっていた。 |