*1ページ健全。2ページ目R18。の構成になっています。1ページ目だけでも完結しています
*店長が一人身の設定の物語です。






リース代わりの指輪


 
 
「お待たせしました。抹茶パフェです」

「えっ?」


ドリンクバーのジュースを飲みながら小説を読んでいると頼んでもないものが届いた。

祐希の一件もあるのでここはちゃんと言わないと・・・。


「あの・・・たのんで、ないですけど・・・?」
「え・・・。店長がもっていけっていってましたけど・・・?」
「え・・・??」



そういってちょっと離れた所に居る店長に目線を送ると現状が分かってるかの様に反応しそれでも食って待ってろとでもいうかのような目線と口はしを吊り上げて答えてきた。

なるほど、そういうこと・・・。


「ありがとうございます」
「いえ」



ごゆっくりと一礼して店員さんは持ち場に戻っていく。

さて、まだお店が閉まるまでまだ時間あるしお言葉に甘えてゆっくりしてようかな。









「う、ん・・・っ」


あれ・・・ゆっくりしすぎたのかどうやら俺はいつの間にか寝てしまっていたらしい。

ふと目を開ければ店の中は薄暗くなっていた。仄かにある灯が綺麗だ。


「よぉ、起きたか?悠太くん」

「おきまし・・・た!!?」

「はは、期待通りの反応だな」

「もしかして起きるまでそうしてたんですか?まってたんですか・・・?」

「たりめぇだろ。ったく、気持ちよさそうに寝やがって」



反対方向を向けばそこには仕事を終えて私服姿になっている店長が居た。

いや、いるのはいいんだけどほぼ顔の真横の同じ高さというか同じようにうつぶせになってたというか・・・。

所謂ずっと俺の寝顔を見られていたと言うことで・・・。

うわぁ、恥ずかしい・・・。


「んじゃ、出かけますか。腹は?」

「まぁそれなりに・・・」

「あのパフェくってか」

「っ!!」


若いっていいねーなんて言いながらククッと笑っている。



「ほら、電気消すぞ。さっさと出ろ」

「あ。はい。・・・あ、店長?」

「んだよ」

「あれって・・・?」

「ん?あー・・・」



”あれ”とは、俺が指を指した先にあるものは一つのクリスマスリース。

ハートの形をしていて、紅色と薄いピンク色の大きいバラが5つぐらいあってその周りに黄色や白の小さいバラやお花・・・そして赤い大きなリボンが結ばれている。

すごくかわいくて綺麗。


そしてそれを持っているのは一つのテディベア。

ふわふわしててかわいくて、その二つのセットは素敵で見てるだけで温かい気持ちになる。


リースとは、永遠、幸運、幸福などを呼び込むお守りと考えられているもの。

その考えがすごくわかる。


それはとある机に飾られていてさっき起きたときについていた仄かな光とはそれを照らしていた光だった。


「ちょ、っとな・・・」

「手にとって見てもいいですか?」

「・・・んー・・・、まぁいいか。っつーか、ほら」

「っ!?」



俺がバラの花びらをつんつんと触りながら聞いてるとひょいっと店長がそのリースを手に取って俺の頭に被せてきた。


「て、店長!?」

「ん。似合ってる」

「―っ!!!!?」



俺は顔を真っ赤にして俯く。だって、それ、って・・・っ。


「それかぶってけ」

「・・・は?」

「魔避けになるだろ。そういう言い伝えもあるしな」

「もー!」



つん、と俺のおでこをつつくきながら今度こそいくぞと言いながら電気を消した。


くそ、キザめ・・・っ。





・・・店長、知ってるんですか?

リースって祝い事・・・、結婚式でつまり花嫁さんがこうやって着飾ってブーケにするするって・・・。








「んじゃ、ラストのここだな。ほらついたぞ」

「!!」


高級料理店で食事をしお店やイルミネーションをぶらぶら歩きながらみて最後なにしたいと店長にきかれたから夜景を見たいとお願いしたら山頂の方につれてかれた。

「綺麗ですね」

「ったりまえだろ、」

「・・・・店長、」

「あ?」

「クリスマスプレゼント・・・帰りまでに考えとけっていいましたよね、」

「・・・言ったな」

「・・・このリース貰えません、か・・・」

「・・・・それは無理だな・・・」

「・・・っ。です、よね・・・」



お店を出てから俺はずっと店長に花冠として頭につけられていたリースをずっと見つめていた。

それが気になったのかこのリースが特別な理由を教えて貰った。


それは過去の恋人にクリスマスプレゼント・・・そしてプロポーズするときに渡して結婚式に付ける予定の物だった。

だった、というのは、去年の・・・丁度3日前に病気で亡くなって渡せずじまいなものだった。


けれどこれをあそこに置いてあると言う事は、店長はまだその人のことを忘れてないということ、まだ愛していると言うことなんだろうと感ずいてしまいつい、あんな事をいってしまった。

あたりまえだ、そんな大事な物・・・俺なんかに渡せるわけがない・・・っ。


「・・・悠太、それかせ」

「・・・はい」



俺は普段呼び捨てにされないのに急に名前だけで呼ばれたことにドキっとしながら頭からリースを外して手にとって丁寧に店長に渡す。

店長はそのリースをじっと見つめている。すると、


「マジックみせてやろうか?」

「・・・は?」

「ここには一つのリースがあります、そして悠太くん手の甲を上に向けてパーで左手を出して目を瞑ってください」

「え?え??」

「おら、はやくしろっつんだよ」


俺はオドオドしながら言われた通りにする。


「そしてこのリースを俺の後ろで手の中を行ききします。すると、」

「・・・っ!」

「・・・このリースは渡せねぇけど、これで我慢・・・・できねぇか?クリスマスプレゼント」

「店長―っ!」



目を開けて見れば差し出した手の薬指に指輪がはめられていた。

それはさっき町を歩いた時に俺がずっと睨めっこしていた指輪だった。

いつ買ったのかなんてわからない。どうして手に入れてるのか分からない。

けれど確かにそれはあって、外して手にとって見て見れば内側に彫られた文字。




”I promise love of the eternity.”

”I'm with you, always・・・I protect you in my life.”




と、2行にわたって彫られていた。



「・・・泣くなよ、やっぱ嫌か?」

「ち、が・・・うれしく、て・・・っ」

「そうか・・・」



微笑みながら俺を抱きしめて包んでくれる店長。


俺はただただありがとう、と

ただただ、店長、と


何度もよう呼ぶことしかできなかった―。






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執筆者:ストロボナイト*の水黒ゆた様
お題提供元: 反転コンタクト