140字つめ!


タイトル通り。
ツイッターで140字ポエムで遊んでたのをまとめたやつです。







お前はいつも俺から目を逸らしてたよな。
だからサザナーラで初めて目が合って嬉しかった。ほんとのお前を見せてくれたのも。瞬木隼人とやっと仲間になれたんだ!って。
だけどいつの間にか俺が自分を隠してたんだってお前のおかげで今なら分かるよ。
「瞬木、ありがとう」それだけ言いたかったんだ。


「アンタまた背伸びたよな」
「へへ、もうすぐ抜かせるかな」
いつの間にか隣に並ぶようになっていた横顔は微かに頬が膨らんでいた。瞬木がからかって俺が拗ねる、その図式が身長のおかげでひっくり返ったのかも。
同じ位置にある瞳を覗いたら襟を掴まれてキスされた。
「こうしやすいから良いや」
バカ。


「夜鳥でいいか?」
精肉売り場で値札を吟味していた目が俺を見た。
「いいね」
「照り焼きにする」
カゴに発泡スチロールを放り込んだ瞬木が俺の耳に顔を寄せる。
「夜中も食べたくないか」
「え?」
「ヒント、ハヤブサ」細い指が彼自身を指差す。
意味を理解した時には彼は何食わぬ顔でレジに並んでいた。


押された。当たった?
気づいた時にはもう天馬に押し倒されていた。
何の構えもとってなかったから勢いのまま倒れこんで、背中も頭も酷く痛い。
「なんだよ、積極的だな?」あわあわと泳ぐ目と赤い頬がわざとじゃないと告げている。
つまんねーの。
首を引き寄せしようぜ、と囁きを落としてキスをした。


もうすぐ地球につくよ。
間の抜けた声は宇宙をかけた戦いで皆を鼓舞した奴のものだとは思えない。
こいつ、本物か?
ヘラヘラ笑う頬をつねれば痛いと言われた。
「宇宙の技術でも使ってんの」
「何言ってるんだよ? ほら、行こう」
差し出された掌の暖かさは俺の知ってるコイツそのものだった。


普段の様子からは信じられないくらい規則正しく漏れる寝息にほおが緩まずにはいられなかった。
そうだよな、だって俺と一つしか変わらない中学二年生なんだもんな、すごく大人に見えるけど。
肩にかかる暖かい重みを感じながら細い青の髪をなでれば、彼は小さな子どものようによくわからない寝言を漏らした。


「バカバカバカバカ!瞬木のバカ!」
「はっ、アンタバカしか言えねーのかよバーカ」
「瞬木だってバカって今言った!」「ガキかよ」
「一つしか変わらないだろ!」
天馬が地団駄を踏む。うるせーなってげんこつを一つ落としたら、更にぴーぴー言い出した。うるせー、めんどくせー、だけど喧嘩は悪くない。


唇がくっつく、一歩手前。
「俺は強いからな!」まさに触れかけていた唇が叫び、そのまま身を剥がされた。
「へ?」
「だ、だから、俺は大人だからな!」
「何言ってるの」「うるせえ、何であんたそんな落ち着いてるんだよ」
緊張してるんだ。俺も手が震えて顔だって赤いのに、それにも気づかないなんて。


俺はあんたに言いたいことがある。
「瞬木、またな」
差し出された手を取って別れの挨拶代わりの握手なんて洒落たことをしながら、本当に吐きたい言葉を胸の内で反芻した。
「あんた子供体温だよな」
「うるさいな」
たった三文字の気持ちをあんたに伝えるのは怖くてただ手を掴んでいた。


「もう食べれないよ」あと数口、だけどどうしてもその数口が胃に入りそうにない。「食べ物の恨みは怖いんだぜ?」「そんなこと言うなら瞬木が食べてよー」「ったく」ひゅっと正面から箸が伸びてきたかと思うと残りを器用につまんで口元に差し出された。「はいあーん」ず、ずるい。睨み返して口を開く。





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