まりサッカーバカ


ギャグ


「瞬木! 俺ともブラックドーンやろうよ!」
キラキラと迫る瞳を避けながら「まぁいいけど」と頷いた。煩く跳ねて喜ぶ心臓は聞かないふりをして。

それが、一時間前。

「おっかしいなぁ……」
ゴール前でしきりに首を傾げる天馬には何も言わなかったが、俺も同じことを思っていた。
ブラックドーンが成功しない。
息が合わないとか力の問題とか、そういうのが原因じゃない、と思う。だけどなぜかうまくいかない。剣城とやった時は面白いくらい簡単に成功したのに。
「なんでかなぁ。ねぇ剣城ー、コツとかってないの?」
井吹と一緒に黙々と(井吹の方はいちいちいいねえだかもう一本だかうるさく色々叫んでいたが)シュート練習に勤しんでいた剣城はふと動きを止め、黄土色の瞳を何度か瞬かせた。
「コツ、は分からないが瞬木の速さを信じることじゃないか。あとばっ、としてビューンってかんじだな」
「はぁ?」
アバウト極まりなさすぎる。バカにしてるのかと思うが、宇宙を制したストライカーの瞳は真剣そのものだし、少し遠くで聞いている神童も最もらしく頷いている。いやわかんねーだろ。
「剣城お前もっと真剣に……」
「わかった!! つまり最初にこうばってやるんだな!?」
「そうだ」
天馬が大きく振り上げた足に剣城は満足げに頷いた。おい、マジかよ、意味わかんねー。
「なんなんだよお前らの会話……」
「? 普通だろう」
「部活中はいつもこんな感じだな」
「マジかよ……」
雷門中ってどうなってんだ。電波の集まりかよ。

その十分後、今までの苦労が嘘だったみたいにブラックドーンは成功した。天馬はコツを掴んだ、とかなんとか言っていたけど。なんていうか、勘弁してくれ。マジで。







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