今回も躍りに踊った世界会議が終わったのは、午後1時頃。それからは会食というなの昼食となった。イタリアさんが会議前に脱走してジェラートを食べに行っていた、という件があったためにそのイタリアさんを見張っていてくれと頼まれていた。ドイツには胃薬をあげといた。しかし、私が少しトイレに行っている間に、あの人の姿は忽然と消えていた。ウクライナさん、ベラルーシさん、リヒテンさん、ハンガリーさん、などの方々に聞いても情報はなし。てっきりナンパをしているのだと思っていたため頭を抱えた。
 けれど、イタリアさんはアメリカさんと戻ってきた。ああ、アメリカさんが捕まえてくれたのか。お礼を言わないと。しかしその割には余りにもほのぼのとしているように見える。遠目から見る二人の顔はどこか子供っぽい笑みを浮かべていた。まるで、これから遊園地にでもいこうと計画してるようなワクワクを隠せてない子供である。ほほえましい。

「たっくイタリアめ、フリードニア悪かったな。」

 先ほどまで心配していたドイツも今はいつも通りイタリアさんに怒りつつ、安心したような笑みを薄く口元に浮かべている。

「いえ、見つかってよかったです。」

 そう言った自分の頬に、何か冷たいものが押し付けられる。びくりと余りの唐突さに震える。上からケセセと楽しそうな笑いごえが聞こえた。ドイツが呆れている。

「ラナビール飲むか?」
「ギルベルト、ありがとうございます。」

 でも、後ろから近づくのはやめてください。そう注意するとちぇっと小さく舌打ちをされた。気づかれないように小さなため息を吐いた。


見落とすサイン


 だから、館にいこうと話している時の、あの人の表情が一瞬強張ったものになったことにも気づけなかった。


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