暖炉の部屋を出る際に一発、すれ違う時に通り魔的犯行をし、出てきた私たち。駆け抜けていくドイツの後ろについていくと、何処かの踊り場でやっと走るのを止めた。急に止まったので、つんのめってイタリアさんに軽くぶつかった。そんな事気にしてもいないイタリアさんは、眉を寄せて、今来た方向を見ながら言葉を漏らす。

「あいつ、少し大きくなってたよね? やっぱり、助けに戻った方が……。」
「いや。与えられた仕事を先に遂行すべきだ。日本なら大丈夫だろう。フリードニアの攻撃も見事に入っていたしな……。アイツの負担を軽くしてやるためにもこの家の完全把握を急ごう。」
「ヴェ。分かったよ。あと、もしあれに遭遇したら、逃げるの優先ね。」
「はい。」
「了解した。ついでに、今一度部屋の内部を徹底的に調べてイギリスと……え〜と……まぁ、報告しよう。」
「分かった! 頑張ろうね二人とも!」

 やっぱり兄弟だと、ドイツの行動を見て思う。的確に今すべきことを理解し考え、指示できる。ある種の才能であるとも思う。私たちのライヒ、あの人がいない今は、あの人の分まで私は貴方を守る義務がある。剣をきつく握りしめた。私も、ドイツの一部なのだ。

「きちんと、お守りしますからね。」
「ああ。」
「無理しないでね。あと、そんな暗い顔しないでフリードニア。」
「兄さんも、見つけような。」
「……勿論です!」

 強がって、笑みを見せる。大丈夫、大丈夫。あの人は、まだ生きている。
 一人で消えるの何て誰が認めるというのか。神がそれを認めても、私は認めない。
 認めるものか。

「さて行きましょうか。上は見ましたがその鍵に合致しそうな鍵穴はなさそうです。」
「それじゃあ一階にいこう、まだそこらへんきちんと見てなかったよね?」
「そうだな、では行くか。」


 慎重に階段を下り、一階の部屋の前へとやってきた。鍵穴に鍵をさしてみるが、入らない。三人とも誰とも言わずに顔を見合わせ次へ行こうと頷いた。続く廊下の向こうは行き止まりだ。戻って別の道を行こう。
 早くこの鍵で開く扉を見つけなくては。使命感に駆られて、道を急いだ。


使命という希望


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