イタリアさんたちを守りつつ、剣を振るう。ギルベルトと私が作った僅かな隙に、すかさずドイツが鞭を振るう。化け物の皮膚が切れていくのを横目で見ながら、確かにあった手ごたえに僅かにニヒルと笑みを零す。やった。化け物と、そのうめき声は煙と共に掻き消えて行った。

「消えた……。」
「ヴェ〜やっぱりお化けなんだぁ……。」
「イタリア!」

二人に駆け寄って行くドイツとギルベルトに私も続く。多少の怪我も見えるが、それぞれ生気のある顔色をしていた。ドイツは心配そうな、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

「ったくよぉ。俺の言ったこととことん無視しやがって! 特にお前だよお前ええええ。」

 目の前にギルベルトの怒った顔が現れて、一瞬肝を冷やした。殴られるのか、あれだけ迷惑掛けたらそれもしょうがないか。そんなことを思っていた私の額に僅かな衝撃が走った。

「いてっ。あー……スミマセンでした。」

 額を抑えながら彼の顔を見上げれば、得意げないつもの顔をして悪びれることなどなく言い放つ。

「デコピンで許してやる寛大な俺様を讃えろー跪けー!」

 横暴に見えるけれど、彼なりの心配だったのだろう。少しだけ、それが嬉しいと感じてしまった。薄らと熱を持った顔をさっと下げる、ぽすんと軽い音を立てて大きな手が置かれた。ドイツの手だ。顔をあげれば、眉を下げて申し訳なさそうに顔を歪めたドイツがいた。

「俺達だけでなんとかするつもりだたのに……。すまなかったな、だが助かった。お前たちも無事か?」
「うん。でもよかったぁ〜!二人ともすっげー勢いで逃げてったからどうなったのかと思ったよ。もちろんフリードニアのことも心配だったんだからね?」
「皆さん無事で本当に安心しました。さて今後ですが……。」
「そうだな、ここだとまたアレが出てくるかもしれねぇから、できるだけ安全な部屋に移動しようぜ。五人もいりゃ、流石に怖くねぇしな。」
「それは良い考えだ兄さん!! なるべく安全に見える部屋を探そう。もちろん、団体行動は乱すな。」
「Ja.」
「了解であります! 隊長!」


合流完了!


 そうして、ようやく全員合流を果たした私たちは、最後に部屋を見て回った。日本さんがクローゼットに手をかける。

「これは……。」
「何だろ……?」

 現れた木箱を手に取る、どこにでもありそうな木箱だが、こんな環境だからこそ怪しく見えてしまう。後々、何かの役に立つかもしれない。そっと懐にそれを仕舞い込んだ。


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