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「なんだ?やけに静かだな・・・」
「みんなどこ行っちゃったの?」
外に出ると村の様子がいつもと違っていた。
人が全然いない・・・。

「コレット!」
「お父さま!」
コレットのお父さんが走ってきた。
「良かった、無事だったんだね」
「みんなはどうしたの?」
「・・・皆隠れてるよ。ついさっきディザイアンが村に侵入してきたんだ。」
話を聞くと彼らは村を素通りして聖堂に向かったらしい。
「・・・。(リフィルさんは大丈夫かなぁ)」

コレットの叔母のファイドラさんも聖堂にいるらしい。

そうして四人で様子を見に行くことになった。


「聖域ってどんなところなんだろうな!ワクワクするぜ!」
「ロイドってばいつも最初だけやる気満々だよね・・」
さすがジーニアス、よくわかってらっしゃる。


*



聖堂に着くまでもわたしは相変わらず非戦闘員で守られてばかり、いつも申し訳ないなぁ。
「エル、もうすぐだぜ!」
ロイドがそんな事気にしていないと言うように笑う。
「・・・・・・もうすぐ・・・」
「?(コレット?)」
隣でコレットが呟いた。

「ここだよね!聖堂って」
ジーニアスがいち早く見つけた。

階段の上にあるドーム型の建物から空にまっすぐ光が見える。



「・・?」


上の方から音が聞こえる。


「(コレット、ねえ)」
肩をつつくとコレットは勘違いしたのか空を見上げた。
「なんだか、すご〜く眩しいね」


うーん、たしかにまぶしいなぁ。
そのうち気付くかな?まぁいいや

「お前さ・・・もう少しこう、神子としての自覚みたいなさぁ」
いつもと変わらないコレットにロイドが呆れた。

「うん、だいじょぶだいじょぶ!」
「・・・なんか聖堂のほうが騒がしくない?」
やっと気付いたのはジーニアス。

「本当だ!」
ロイドが言い出した。
エルフだから耳が良いのかなぁ。わかんないけど・・

上から誰か歩いてくる。
「神子様!」
「祭司長様!?」
「おい、大丈夫か!」

それは祭司長と呼ばれたおじいさんで、
ディザイアンに襲われている事をわたし達に告げると息を引き取った。


「・・・・」
目の前で初めて人が亡くなった、その光景に私達はしばらく黙って祭司長に手を合わせた。
コレットはこの旅でどうなってしまうんだろう。


無事に帰ってこられる保証なんて無い。

「・・・・・わたし、行くね」
しばらくしてコレットが決心したように口を開いた。


・・コレットも怖いはずなのに。

「・・・・・、」
「エル?・・・いっしょに行くって、ダメだよあぶないよ!」
コレットの手のひらにそう書いて伝えると断られてしまった。

「(コレットだけ危ない目に遭うのは嫌だ)」
「でも・・・」
「良いじゃないかコレット!俺達もついてるから、お前は一人じゃないんだぞ」
「ロイド・・・」
躊躇うコレットにロイドが背中を押すように言う。

「ドワーフの誓い、第一番。平和な世界が生まれるように皆で努力しよう、だ!」
「ボクも行くよ!」

「みんな・・・、ありがと」





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