「なまえちゃーん、歯磨き粉買ってなかったっけー?」
「えー?洗面所の棚に入ってないー?」
「なーい…あ、嘘。あったー」
「もう、いっつも探す前から無いって言うのやめてよね。私は探し物発見器じゃないんだから…」

熱々の卵焼きとネギのお味噌汁の匂い。
炊飯器から立ち込める白い湯気。
バタバタと響く階段の音。
飛び交う中身の無い会話。

朝のいつもの我が家の風景。
そんな中の、彼のいつもと違う表情に、私は気づくべきだった。



「体操着持った?」
「持った持った」
「おし、じゃあ行くか」
「ういー。行ってきまーす」
「行ってきます」

いつものように誰もいない家に行ってきますと残して、私達は家を出た。


そして、この家に私達がまた2人で帰ってくることは無かったのだ。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -