そんなに時間もかからず、私達4人は映画館にたどり着いた。 休日というだけあって、流石に人も多い。こんな状況で起こるハプニングといえばやっぱり…
「あー…やっぱりゾロはぐれてるし。何で先に入ったのにまだ入口付近にいるの…」 「まあ、シアターん中に入っちまえば何とかなんだろ」
投げやりな言葉を残すサンジ君。ちょっとはゾロの心配してやれよ!言い返そうと振り返ると、携帯を取り出した彼は誰かに電話をかけ始めた。早速脱線か。 と、思ったがどうやら脱線…では無いらしい。
「よォマリモ。はじめてのおつかい頑張ってるか?」 『何だよはじめてのおつかいって。つーかお前らもう少し隠れろよ。すげェ気になる』 「おめーが気にしすぎなんだよ。こっちチラチラ見てくんな。こっちはこっちで楽しんでるから」 『何をだよ。お前ら楽しむ要素ねェだろ』 「何ってそりゃデート「してないから」そんな照れ「てない」……」 『どうしたエロ眉毛。死んだか』 「死んでねェよこの迷子野郎」
携帯ごしに言い合う様子を、若干呆れた目つきで見る。 通話してる間だけでいいからお互い静かになれないのだろうか。
「そんな迷子野郎に助言をくれてやるよ。さっさとチケット買ってシアター入れ」 『あいつがいねェ。えーと…』 「由香里ちゃんだ!!名前くらい覚えてやがれ!それと、彼女はもうチケット売り場の前だ」 『…それを早く言え』 「言ってもお前チケット売り場まで行けねェだろ。とりあえず真っ直ぐだ。真っ直ぐ進め」 『…それも早く言え。んじゃ、切るぞ』 「おう。頑張れよ」
あ、切られる。そう思った私はサンジ君が携帯を耳から離す前に彼の服の裾をくいっと引っ張った。どうしても、ゾロに言いたいことがあったからだ。 「ちょっと待て」そうゾロに言い、携帯を差し出すサンジ君。
「あ、もしもしゾロ?」 『何だよ』 「あのね、私からも助言をくれてやるよ」 『偉そうだなお前ら』
「由香里ちゃんの映画の好みは恋愛映画なんだって。じゃ、頑張ってね〜」
この助言をどう使うかはゾロ次第だけどね。 多分、すっごい嫌そうな顔してるんだろうな。…1番苦手なジャンルなのは目に見えてるし。
(なァなまえちゃん。あれって本当の情報?) (私が嘘をつくわけないでしょ)
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