リビングに静かな時が流れる。1つしかないテーブルを4人で囲み、高く積み上げた宿題の山が次々に低くなっていく。聞こえるのはシャーペンのカリカリという音だけ──…
の、はずなんだけど…
「なァ、このロシア皇帝って誰だ?」 「卑弥呼」 「ふざけんな。ロシアつってんだろエロ眉毛」 「大坂町奉行所の役人が起こした江戸幕府に対する反乱?何これ」 「胡椒の乱だぞ!」 「大塩の乱な」 「おいてめェ何で俺の質問だけ答えねェんだ」 「じゃあゾロ。13世紀初め頃の元(モンゴル)についてどのような国か述べよ」 「漁業が盛んである」 「お前も適当じゃねーか!モンゴル海ねーよ!」
私達が、まともな勉強時間をおくることができないのは目に見えている。というか実際できていない。1時間やっても積み上げた宿題は全然減ってないし…目の錯覚か、最初より増えているような…
「って増えてる!何で?!」 「不思議だな」 「ゾロさりげなく私のところに積んでるでしょオイ」
パコン!とファイルでゾロの頭を叩く。すると突然、ゴロゴロ…と低い音が部屋に響いた。一瞬雷かと思ったが、こんないい天気に雷が鳴るわけがない。これはルフィのお腹の音だ。燃料切れか。
「なァー…サンジー腹減ったー…」 「俺も腹減った。メシ」 「知るか」 「とかいいつつキッチンに向かうサンジ君」
「ゔ」と一瞬硬直し、サンジ君はそそくさとキッチンに逃げるように歩いていった。今度は確信を持って顔が真っ赤だったと言える。何だかんだいって世話好きみたい。
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