「じゃあ…各自1度家に帰って準備をしてから、私の家に集合。…OK?」
「おーっす!わかった!」
「マリモてめぇ辿り着けるのか?」
「うっせ。どんだけ近所だと思ってんだ。」

「じゃーなー!」と手を降るルフィに、最後までサンジ君と口喧嘩しながら帰っていったゾロ。2人はこれから私の家に集まるの予定だ。もちろん、世界史の宿題のため。
はぁ…とため息をつくと、隣でも同じようにサンジ君がため息をついていた。


「ついにバラしちゃったね…」
「だな…しかもあいつらに。」
「私、ナミに脅されるなんて思ってもみなかった。」
「俺だって、まさかあいつらにあんなことされるなんて…」
「何されたの?」
「や、聞かないで…」

顔に手を当て、プイと目をそらすサンジ君。夕日のせいか分からないが、顔が赤くなっているのが見えたような気がした。ふふ、可愛いとこあるんだなぁ。


「じゃあ私達も帰りますか。」
「そうだね。」

地面に置いておいたカバンを手に取り、夕日に染まった道路を歩き始める。夕日って、見ていると何だか心が温かくなる気がしてくる。何だか心だけじゃなくて手もあったかく…


「……何やってんの。」
「手を繋いで帰りたいなぁって。」
「丁重にお断りします。」
「添い寝は経験済みだろ?」
「黙れ変態。」

いつの間にか握られていた私の左手。
サンジ君の右手の体温を半分分けあったみたいに、温もりが伝わってくる。
ブンブンと手を振ったりしてみるが一向に離してくれる気配は無い。というか、逆にもっとしっかり握られている。
キッと斜め左を見上げると、悪戯っぽい笑顔の彼と目があった。


「サンジ君、こんなことしたら他の女の子から何て言われるか分かんないよ?あーあ、いいのかなー。女の子には平等にメロリンのサンジ君がこんな醜態…」
「…なまえちゃんの中の俺ってそんなイメージ?」
「イメージじゃなくて事実でしょ。サンジ君チャラいから。」
「チャラくないよなまえちゃん!」
「どうかなーっ!」

涙目で訴える彼に、さっきの悪戯っぽい笑顔を真似して仕返ししてやった。意外とこういうことを言われると胸に突き刺さるらしい。


「でも、そういやサンジ君って彼女いないよね。告白されてる現場はよく見かけるのに。」
「見かけてるの?!」
「だって目に入るんだもん。」

そう言うと、急にサンジ君の口数が少なくなってしまった。中々質問に答えてくれないので、もう1度今度ははっきり質問してみることにした。

「で、彼女つくらない理由は?」
「俺は世界中のレディの紳士だから、1人には絞らないのさ。」
「あーハイ。」

返ってきたのは、漫画みたいなキザなセリフだった。呆れるくらいのキザっぷりだけど、サンジ君が言うと何かぴったり合うんだよね。何でだろう。


「その言葉で数々の女の子をばっさばっさと切り落としてきたのか…」
「え。」
「悪気は無いんだろうけど…可哀想に…」
「ちょ。」
「でも恨む女の子が出ないのは不思議だよね。『サンジ君にフラれた女子のサンジ君ファンクラブ兼盗撮部』ってのもあるみたいだし。」
「?!」
「フラれた私達だからこそ、彼の素顔に迫る!ってキャッチコピーでサンジ君の盗撮写真売ってる会らしいよ。」


あれ、サンジ君固まっちゃった?

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