ここは音楽室。この時間帯…放課後の音楽室は吹奏楽部や管弦楽部の活動場所、というのが普通なのだが、この学校にそれらの部活は無い。 代わりに音楽室で活動をしているのは、他でもないこの私。 ぽつんと置かれていたピアノを勝手に弾き始めたのが始まり。それから毎日のように放課後、この音楽室に通っている。
では、この眺めのいい場所から見えるものを紹介しよう。
まず、体育館に隣接している武道場。ここは剣道部の活動場所だ。 ちょうどゾロが水道の近くで休憩しているのが見える。一応彼は剣道部主将だ。 彼が学校に来るのも部活を続けたいからで、本人曰くめんどくさい校則も部活のため守っているらしい(それでも問題児だけどね)
今度は生徒会室。ここには生徒会長のルフィ、会計係のナミがいる。うちの学校がこんな自由なのも、全てはこの生徒会長のせいだと思う。そんなルフィ会長をまとめる…というか制裁を下すナミがいるからこそ成り立っているなんだけど。
次は保健室だ。ここでは保健委員のローと、サボりにきているキッドがよく喧嘩をしている。 今だってほら、喧嘩中みたい。あの2人はサンジ君とゾロみたいに、何か根本的なズレがあるんだろう。 ちなみに、違うクラスだけど同学年だ。
紹介しきれないが、この学校が個性的すぎるってことは分かってもらえたと思う。生徒たちはもちろん、先生だって負けてない。 そんな学校の音楽室でピアノを弾くこの時間が、私は何より大好きだった。
ピアノの前に座り、そして閉め切ったカーテンと窓を開ける。ふわりと風が髪をすくった。 真っ白の鍵盤に指を置き、ゆったりとした曲を奏でる。 すると、窓の外からまたいつものように声が飛んできた。
「なまえー!今説教中なのよ、もっとテンポの速い曲にして!」
生徒会室のナミからの声だ。どうやらルフィがまた何かやらかしたらしく、胸ぐらを掴んでかなりお怒りのようだった。素直に曲を変えようと手を止めると、今度は保健室から苦情がきた。
「おい止めんなよ。今から寝るからさっきの曲でいい。」 「ユースタス屋。寝るならここじゃなくて屋上行けっつってんのが聞こえねェのか。」
「ちょっとあんた達黙ってなさいよ!こっちが先にリクエストしたのよ!」 「そうだぞキッドー!俺ももっと速い曲がいい!」 「ルフィも黙ってなさい!ちょっとゾロ、あんたも何とか言ってやってよ!」 「俺を巻き込むなよ!」
あーあ。また始まった…
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