「はぁ……はぁ……」
「さ、散々走ったのに…遅刻って…」
「何でなまえちゃん弁当忘れちゃったの…」
「だって、サンジ君お弁当まで作ってくれるとは…」

閉ざされた校門の前で、私達は呆然と立ちすくんだ。
世の中色んな学校があり、色んな遅刻処罰があるが、私たちの学校ではまず閉め出される。遅刻者は校門の前でずらりと並び、生徒指導の先生に説教を受けるのだ。お叱りは先生によって違うが、竹刀持ってくる先生もいるから冷や汗モノだ。


「スモーカー先生とかだったら嫌だなぁ…」
「俺だったら何だって?」
「ぎゃあああ出たァァ!!ヘビースモーカー!!」
「誰がヘビースモーカーだ。 と、お前学校来る気になったのか。」
「おう。俺ァ優等生だからな…って、あっ、てめタバコ返せ!!」
「優等生が…というか生徒がタバコ吸うんじゃねェ。」

タバコをとられて不機嫌度MAXなサンジ君は、眉間にしわを寄せたまま黙り込んだ。無言の圧力が隣にいる私にまでのしかかってくる。そんな中、悠長にのろのろとダルそうな歩きでこちらに向かってくる人影が見えた。


「あン?何だてめェ来やがったのか。ここ最近見なかったからてっきりくたばっちまったのかと。」

「チッ…朝っぱらからうっせーんだよこのクソマリモ。」
「あ、ゾロおはよ。相変わらず遅刻してても走らないんだね。」
「なまえも遅刻したのか。大丈夫だ、俺より後ろがいる。」

そう言い、親指をくいっと自分の後ろに向けるゾロ。目をやると、堂々と自転車に2人乗りをしながらやってくる2人組が見えた。食パンをくわえている姿はまるで漫画のようだ。


「よーォ!お前らおはよー!!」
「ルフィ、エース! おは…むぐッ?!」

なまえの声は、途中、口につっこまれたタバコによって遮られた。
咳き込みながら涙目で見上げると、スモーカーが険しい顔でこちらを見ている…というか睨んでいる。


「ごはぁあぁ苦いー!!!」

「俺が説教してるってこと忘れてるんじゃねェ。」
「てめェなまえちゃんに何してくれてんだァアァァ!!!」
「え。ちょ、えぇっ?!」

目を丸くしながら自分のななめ右上を見上げるなまえ。
いきなり教師(しかもスモーカー)に向かって蹴りかかってくる生徒が隣にいたら、誰でも驚くだろう。

「…ッ!! …教師を蹴るたァやってくれんじゃねえかこのガキが。」
「レディの口にタバコ突っ込んだ奴に言われたくねェな、このクソタバコ野郎。」
「クソタバコ野郎? そりゃてめーのことだろ。」
「おめーはちったァ黙ってろマリモ!!」

教師を含めた喧嘩が始まってしまった。
まだげほげほとむせ込む私に、自転車から降りたルフィとエースが近づいてきた。ちなみに、もう食パンは2人のお腹の中だ。

「おいなまえ、大丈夫か?保健室行くか?」
「なまえにタバコは早いよなァ。 んじゃルフィ。俺大学行ってくっから。」
「おう。またなエース。帰りは焼肉だからなー!!」
「おい麦わら。買い食いはダメだと何回言やあ分かるんだ。」


(そうさ俺たちゃトラブルメーカー!)

とりあえず、ずらかろう。
私は校門に足をかけ、よじ登って中へと入った。

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