背中に細いステッキが減り込む。皮膚が捻れて骨にまでステッキの先が着いてしまいそうな感覚に陥る。涙や汗や様々な体液で濡れた髪を強く引かれて体がのけ反ってそこにまたステッキが減り込む。のけ反ったまま視界の隅に写った貴方は酷く楽しそうにその紅い唇で弧を描く。その口元を見てまた自分の体がゾクゾクし出す始末なんだから彼もそして私もとことん救いようがない。
「ラ、フィット」
「何ですか?」
「もっと」
「ホホホ、貴女も物好きですね」
「そんな物好きが好きな貴方もね」
髪をつかんでそのまま軽々と持ち上げられて私は背中から固く冷たい床に受け身もとれないまま落とされた。
「まったくその通りですね」
「ラフィット」
私の上にまたがっり今度は目から溢れ出る涙をゆっくりとねっとりと舐め上げてくる。だめだ気持ち良過ぎておかしくなりそう。
「舐めても舐めても溢れますね、涙」
そよフレーズだけでドキっとしている自分に興奮した。
「元を舐めてみましょうか」
「ラフィ・・・や、あ」
生き物のラフィットの生温い舌が私の右の眼球をねっとりと舐め回す。目にゴミが入るあれとは比べ物にならない異物感に目を突くような痛み。涙は止まるどころか更に更に溢れてくる。
「止まりませんね」
「ラフィット、ラフィット」
「何ですか?」
「もっと」
「おやおや」
今度は眼球だけではなく耳の奥から足の指までたっぷり時間をかけて気がおかしくなりそうなくらいに舐め回された。
「どこが1番いいですか?」
「あっ・・・目が、いいっ」
「ホホ、そうですか」
ラフィットがまた私の眼球に舌を這わせる。このまま私の眼球が傷だらけになって見えなくなってしまえばいいのに。私はラフィット以外見たくないから。そんなことを考える私も眼球を舐めて喜んでいる彼もやっぱり救いようがない。
10/07/26(20170118).