(エレンSide)



朝の4時頃、ふと目が覚めた。外を見るとまだ暗くてもう一眠りしようと思って布団に潜り込んだ時、上の階から物音が聞こえた。見張りの人かとも思ったけれど、もしかしたらあの人かもしれない。そう思って飛び起きて階段を登った。



「今、帰ってきたんですか」
「・・・うん」



ランプの明かりに照らされて見えたのは疲れきった様子の〇〇さんだった。服は兵団服のまんまだ、こんな時間まで何処で何をしていたんだろう。誰かと居たのか、それとも1人で?リヴァイ兵長は日が落ちて少ししてから帰ってきたから夕方かそれより前には〇〇さんと別れている筈だ。それからほぼ半日も何処で何を・・・。



「私は今から寝るから、あんたもちゃんと寝ときなさい」
「こんな時間まで、何をしていたんですか?」
「別に、あんたに教える必要はないよね?」
「そうだけど、こんな時間まで・・・1人じゃ危険かもしれないでしょ」
「・・・大丈夫、途中まで1人じゃなかったから」
「誰と、居たんですか?」
「・・・あんたの同期のジャンって子」
「え!?」
「声が大きい、皆起きちゃうでしょ」



驚いて声をあげてしまった俺の口をあの冷たい小さな手が咄嗟に塞いだ。だって今、ジャンって言ったよな?あのジャンと、何処で何してたんだ?あいつ変なことしてねぇだろうな、ミカサに殺されるぞ。



「その、ジャンと何を?」
「偶然街中で会って、ご飯食べてきたの」
「何か変なこととかされたり聞かれたりは、してないですよね?」
「変なこと?特にないと思うけど・・・あんた達の訓練兵時代の話をしたくらいだよ」



〇〇さんの言葉を聞いて安心した。それこそジャンが相手じゃなくてもこんな時間まで女の人が1人で出歩くのは危ない。何か良くないことに巻き込まれる可能性だって無い訳じゃねぇんだ。まあこの人に対してそんな心配は無用かもしれねぇけど、それでもだ。もしこの人に何かあったらミカサに何を言われるか分かったもんじゃねぇからな。



「そうですか、ならいいんですけど」
「こんな時間に起こしてごめんね、訓練に響くといけないからもう寝なさい」
「はい、〇〇さんもゆっくり休んでください」
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」



〇〇さんは上への階段を、俺は地下への階段をそれぞれ進んだ。少し冷たくなったベッドに潜り込んで、さっきまでのあの人の顔を思い浮かべた。随分疲れた顔をしてたな、ちゃんと休んでんのかな。ジャンから訓練兵時代の話を聞いて、何を考えてたんだろう。どんな顔で、聞いてたんだろう。



「あいつ余計なこと言ってねぇだろうな・・・」



嫌な馬面を思い出してしまってそれを振り払うように目を閉じた。あと少しすれば皆起きてくる、それまでしっかり休んでおかねぇとな。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -