「ユーヒチ」
「なに?」
「あたしのこと、好き?」
「どうだろう、考えたことないや」
「じゃあ、好きになって」
「〇〇は、それでいいの?」
「いいよ、だから好きになって」
「切ないよ」
「ユーヒチも、そういうこと言うんだ」


だってあたしたちキルドレだよ。明日は死ぬかもしれないし、100年後も生きてるかもしれない。後者のほうは、たぶんありえないけど。でも、あたしたちは子供なのに飲酒も喫煙も人殺しもセックスも許されるんだよ。すごいよね。


「ユーヒチ、好きになってよ」


忘れちゃってもいいから。好きになってよ。心のどこかに、私の膣の感触が残ってたらそれでいいから。ユーヒチ、好きになってよ、お願いだから。


「〇〇は、それでいいの?」
「いいの、だから好きになって」
「僕は、よくない」
「スイトさんが、好きだから?」


ユーヒチも、そんな顔するんだね。


「ユーヒチのこと、たぶん、ずっと好きだよ」


あたしが別のキルドレになっても、たぶん断片的な記憶のどっかにそれだけは残ってると思う。今のこの感情だって、あたしのものなのかなんて分からないくらいだし。


「次は、好きになってね」


あたし、今からティーチャのとこに行くよ。ナホフミが見たんだって。あたしがもし、本当にもしだけど、ティーチャを落とせたら、ユーヒチの記憶に、残れるのかな。



(私の散香は高く飛べるだろうか)

2011/12/29.

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