真っ赤に燃え、荒れ果てたかつての故郷。
まるで忌み嫌われた彼のあの髪みたいに。……あぁ、でもあの髪のいろとこの赤は全く違う。
私が見たいのはこんな赤じゃない。もっと優しい、彼の夕焼けいろ――。
「……望んでやるよ。背後の鉄砲くらい。だから、……早く、帰って来い、紅蓮……」
かそけく声を響かせて、目元に溜まる水滴も余所に、彼女はそのまま荒れ地にくずおれた。
(認めてやるよ。お前が好きだって。応えてやるよ、お前の想いに。
……逢いたい、んだ。はやく。だから帰って来てよ、そばにいて。
あの日みたいに笑って私を抱きしめて)
背中の鉄砲を望みます=やまとことば。意味は『会って話がしたいです』