02


その翌日。
と言っても夜勤明けなので終わりは朝の7時。朝勤の学生くんとシフト交代し「また夕方来ます〜」と言えば週刊誌を2冊手に持ちレジに向かい中華まん1個と一緒にお買い上げ。
ガサッとレジ袋を片手に出入口まで行くと丁度陽が登り始め寝不足の私の視野を虐めてくる。

うぅ、、と唸りながらも早く帰って漫画を読む気持ちの方が勝ったので足早に店の外へ。
その時、誰かとすれ違った。
ふわっと石鹸の様な匂いがし、振り返ると茶髪の青年が入れ違いで店内に入って行くのが目に入った。
顔までは見えなかったが店長も軽く挨拶をしている様子があり、朝の常連さんとしかこの時は認識しなかった。

『そんなことより漫画、漫画』
今週は大好きなミシェルくんが頑張るシーンだからね、早く読んで仲間達と萌え語りたいんだ!!





『……ツラい』
夕方、レジに立ちながら呟く。
寝不足だ。完全に。
本来なら夜勤明けは直ぐに寝床に入るのだが、ミシェルくんの奮闘ぶりをオタ仲間に熱弁してしまい、しかも興奮して寝ることが出来無かった為、深夜アニメを観てしまったのだ。そう、一睡もせずに。

「橘さん、今日はいつにも増して眠そうねぇ」
『あ、山本さん。すみません、ミスはしないようにしますんで。』
「いいのよー。橘さん、週6フル勤務の上に時間バラバラなんだから。あんまり無理しないで、体調悪くなったら直ぐに言うんだよ?」
『山本さん…!!』
パートの山本さん。田中さんと同様に物凄く優しい人。よく一人暮らしの私の心配をして家で残ったおかずや野菜をお裾分けしてくれるのだ。
『大丈夫です!ただの寝不足なんで!シャキッとしますね!あ、いらっしゃいませー!!』

山本さんにお礼を言った直後に入り口のチャイムが鳴り、挨拶をすると見たことの無い青年が店内に入ってきた。




『…………』


一瞬だった



一瞬で




イケメン嫌いの私がだ、






彼に恋をした







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