×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -








《話は聞いたぞ…》
『わっ!!
ち、チダルマ…!?』
《会う頻度が少なくなったかと思えば…
なまえ、お前結婚するそうだな》
『誰から聞いたの?』
《俺は悪魔だ 聞かなくても分かる》
『煙が喋ったんでしょ。貴方と煙は仲良いから』
《……》
『もう。言わないでねって言ったのに』
《相手は誰だ》
『言わない』
《煙か》
『そんなわけないじゃない』
《トカゲ頭か》
『それだあれ?』
《分かった!あの心臓男だろ》
『……チガウ』
《相変わらずお前は嘘をつくのが下手だな。
何故すぐ言わなかった。 お前が願えば俺はすぐ現れるのに》
『嘘ばっかり。そんなの貴方の気まぐれでしょう?』
《悪魔だもん》
『あっそ。もう知らないわ』
《素っ気ないぞ。もっと構え》
『チダルマ怒ってる?』
《怒ってない》
『本当に?私が誰のものになっても彼のこと消さない?』
《それは消すかもしれない》
『え』
《嘘だ》
『何なのよ』
《もしも結婚すれば魔法使いの力を取る、と言ったらお前は結婚を辞めるか?》
『……』


なまえは黙ったが少し考えただけですぐに口を開いた。


『辞めない。魔法なんて要らない。』


それを聞いたチダルマは呆れたようにため息を吐いた。


《お前達は本当に愚かだ》



チダルマはそれだけ言うと消えていった。

家へ戻ったチダルマは煙の所から勝手に持ち出したなまえの写真を懐から取り出してじっと見つめる。
人間の中では久しぶりに愛おしいと思い、着せ替え人形のように彼女を愛でた。彼女も楽しそうに笑っていたので満足していたと思っていたのに。悪魔の俺が可愛がってやっていたのに。

今まで過ごしてきた自分だけのものだった時のなまえとの思い出を思い出し、チダルマは少しだけ泣いた。




2020.09.15