人数の関係上、先に投球順が回ってきたのは仁王だった。

立ち上がり様ニヤッと不敵な笑みを浮かべたのは気に障ったが、一先ず仁王に注目することに。

一投目は1本残しの9本倒れだった。しかし、二投目でしっかりと残りの1本を倒し、10ターン目であるためもう一球投げられることになる。

そしてそのラスト一球がよりによって…ストライク。


私は唖然とした様子でフロアから帰ってくる仁王を見つめていた。

「おい、名前。お前の番だぞ」

『はーい…』


冷や汗を流しつつ立ち上がると、すれ違い様仁王にぼそっと囁かれた。


「ジュース、もう選びに行っててもえぇ?」

『〜っ!!』


バッと耳を押さえながら振り返れば、それはまぁ憎たらしい顔の仁王が。

そんな仁王に思いきり舌を出し威嚇した後、フロアに上がりボールを構える。


『(大丈夫…落ち着いて行けば、なんとかなる!)』


そう自分に言い聞かせ投げた第一投は…なんと、ストライク。


『!!やったぁっ!!!』


「うわぁー…」


あからさまに嫌そうな顔をしている仁王に向かって満面の笑みを向けた後、戻ってきたボールを手に取り、ピンが整列したのを確認し続いて二球目を投げる…と、2本残しの、8本倒れ。


しかし、だ。先程まで仁王と同じスコアだった自分は、ここでスペアを取れば、勝ちこそできないものの仁王に負けることはない。


とにかく、負けることだけは嫌なのだ。

幸い割れたわけでもなく、固まって2本が残っていたため、慎重に位置を確認し、腕を引いた。



と、そのとき、



「苗字ー、スカートん中からパンツ見えとるぜよー」

『へっ!?って、あぁぁっ…!!!』


思わぬ言葉に掴む力を緩めてしまったことにより、ボールは転がることなくレーンの手前に落下。そして、ゆっくりとレーンを右方向へと曲がっていき…ガーターへと落ちた。


『ちょっっま、今のはナシ、無効無効っ!!!』

「ざーんねん、有効じゃ。…ほれ、しっかりスコアにもGって出とる」

『だっ、だって仁王が変なこと言うからでしょうがっ!!反則だって反則!!』


「…丸井、どう思う?」


「ははははっ、苗字の奴馬鹿だよな、スカートじゃなくてジーパン穿いてんのにっ…や、っべ…腹痛ェっ…!」

「…ぷっ、じゃって。普通は嘘じゃってわかってスルーするもんな、有効じゃやっぱり」


『うううっ…に、にっ…』



仁王のばかやろぉぉぉぉぉぉ!!!!


日の光が暖かい、穏やかな日曜日。
ペテン師に騙された一人の哀れな女の叫び声が響いた。



ぺてん注意報。

(名前ちゃん、名前ちゃん)
(…急に名前呼びすんなよ何か気持ち悪い)
(そんなこと言わんで…ん、一本オマケ当たったからオソトワケ)
(…ども(こういうとこあるから、嫌いにはなれないんだよなぁ))






紅優さんリクエストの、『凛or仁王のほのぼのギャグ』でした!
本当は第一希望にされてました凛くんでいきたかったのですが…「あ、私うちなーぐちわかんね」となってしまい断念しましたすみませんんん!!

そして何より、これは一体…ほのぼのギャグと呼べますかね?(真顔)
加えて受験後初の作品でしたので、書き方も不安定で…とにかく謝るしかないです申し訳ありません!

ちなみに昨日私もボーリング行ってきました。ガーターと7本が好きな女と名付けられました。


改めまして、素敵なリクエストありがとうございました!




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