17:50 この赤い河のほとりで生きる



少女漫画名作『天(そら)は赤い河のほとり』の本編を読み終わりました!外伝はまた今度……

現代日本の女子中学生・夕梨(ユーリ)が古代のヒッタイトに魔術で連れて来られるところから始まる物語です。
最初に助けてくれた皇子・カイルと一緒に生きていく中で、ユーリはカイルと想い合うようになっていくのですが、ふたりが本当に結ばれるまでには障壁がいろいろあるわけです!
最初は現代日本へ帰りたいと思っていたわけですが全く帰れずに終わります。全く帰れずに全く現代の描写もなく終わるあたり、潔くて好きです。


時代の流れが描かれていてめちゃくちゃおもしろかったです!!
つい先日読み終わってまだはまりっぱなしのバサラと比べてしまうのですが、どちらもおもしろいですね……
どちらも戦う15歳(連載開始時)の少女が主人公で、どちらも国の在り方について考えていてすごく興味深いです。
あとどちらもなぜか相手役のCVが井上和彦でなんともいえないです!いい声だけど!不思議だ!

読んでいてしんどかったのは、人を完全に操る能力が存在するところですね!
操られずナキア側についた人の描写を作中で見て「やっぱりこのほうがいいな……」と思わされました。
あと気になるところは主人公のユーリがちょっとすごすぎたことですかね……ナウシカみたいに心が清らかなのは好きだしバンバン戦う「イシュタル」になったのもかっこいいのですが、あまりにも天性の戦術感覚が鋭すぎますよ!!

登場人物の中では、ルサファが一等好きです。
彼が活躍し始めてからはもう彼に感情移入しっぱなしで、彼が死んでからは正直あまり内容が頭に入ってきませんでした……あっでもナキアにユーリがお礼言ってたことは印象的でした。
ユーリを慕い、崇拝し、その上命を救われ、いつか彼女のために命を捨てようと思っていたルサファ。身籠ったユーリを懸命に守ろうとしたときもその献身がせつなかったです……。
現に一度彼女を庇って矢に射られたことがありました。その時は軽傷で済んだのですが、ユーリにもカイルにも「真にユーリを想うのであれば生きて長く仕えるように」「子孫を残して我々の子孫に仕えるように」と叱られます。それでもやはりルサファは、彼女のために死ぬことばかりを考えていました。
終盤になり、ルサファを慕ってラムセスの妹姫がヒッタイトにやってきました。最初は彼女の想いを厄介がっていたルサファですが、アプローチを受けるうちに徐々に心を許し始めていました。
ユーリのために死ぬのではなくて、本当に子孫を残して彼の子孫がふたりの子孫に仕え続けるようになるのかと思わせた矢先の死で……本当につらかったです……篠原先生ひどいよお……
めちゃくちゃ泣きました……

あとこの作品でめちゃくちゃ泣いた回がもう一つ。ウルスラの最期はめちゃくちゃ泣きました……
同じ夢を見ること、それは、共に生きるよりも……。
女性が大望のためにみずからの個人としての幸福を投げ打つ話は初めて見るのもあって衝撃でした……

序盤のキャラクターだとザナンザが好きです。ユーリのため、そして兄であるカイルのためにユーリから身を引くところが好きです……最期はつらかった……幸せになるはずだったのに……
ジュダとアレキサンドラもかわいくて好きです!
あとウルヒ……バサラでもだけど隻眼の美人(だが男だ)は幼少期に掘られた過去がないといけないのですかね……そういう意味では揚羽に近いけど、彼とナキア皇太后との関係性はバサラでいうと柊と白の大姉・銀子の関係性に近いなと思いました。せつないよ……

恋愛関係云々でいくと、最終的にはカイルとラムセスがメイン相手役で三角関係といった風情でした。どちらも世の中の先を見通しつつお互いをライバル視しつつユーリをも欲しがるいい男でした。
正直、戦の最中で丸裸になってまで戦うのはちょっと引きました!この機会を逃したら直接決着をつけることができないというのは確かなことのようだったので、心情的には理解できなくもないのですが、どちらも大軍率いてるんだから違う形で戦わせておいてもよかったと思います!!
それ以外は基本的にはどちらもいい男だなという認識です。途中から全萌えがルサファにもっていかれたのでなんともはやですが、どちらも最初から好印象でした。カイル最初からいい奴だし風使いだしいいかんじです。
ラムセスが最後パリッと引いて子孫同士の婚姻を持ち出していたのも好きです。「この後孫まで待たねばならない」と歴史上の人物ゆえの注釈が入ったりするあたりにときめかされました。

この作品で一番かっこよかったシーンは、現代に帰ることができるときにそれを蹴ってカイルの傍……このヒッタイトに生きることを誓うシーンです。モノローグで「私の天はこの赤い河のほとり」とタイトルコールが……!
めちゃくちゃかっこよかった!鳥肌たちました。

カリスマ感の強い作品でした。
番外編もまたちゃんと読みたいです!




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