秋田 勇希と常に行動を共にする村上 孝には秘密があった。

村上 孝。
金髪に染めた髪の毛に、筋肉質で身長も高く。
不良だなんだと恐れられている生徒である。

泣く子もさらに泣き喚くどころかお漏らしするレベルの強面を持ちながらも、実は整った顔立ちや面倒見のよさから「兄貴!」と村上を慕う男子生徒は多い。

不良と言われる、すこしひねくれた生徒たちからは兄貴と慕われ。
一般生徒からは遠巻きに見られつつもきゃあきゃあ言われ。

そんな中で転入してきた勇希の態度は、村上にとってとても新鮮で。
学園で二人目の、村上を初対面で怖がらなかった人物である勇希の傍になんとなく居始めた。
村上は、勇希に恋とまではいかないながらも、心を許している。

と、周りには思われてるが実は他に理由があったりする。



「孝、なにつけてるんだ?襟元に。」
「な、なんでもねえよ。」
「なんでもなくないだろ。ん?ばらのバッチ?」
「ちょ!おまえ、やめろ!」
「灰色のばらかあ。このバッチつけてる奴よく見るんだけど、何なんだ?これ?」

そう灰色のバラのバッチ。
何を隠そう、村上は山田さま親衛隊の一人であった。
それも、警護隊長なるそれなりの任についていたりする。

なぜ、視線だけで人をころせると称される強面の彼が優飛の親衛隊に入っているかというと。


「どけよ、邪魔だ」
「はあ?お前のでっかい図体の方がどうみても邪魔。どきなよ木偶の坊」


村上がただのドエムだったからである。
ちなみに上の会話は、村上と優飛の初めての会話だったり。
心底蔑んだような優飛の視線にピキリと固まった彼は、優飛の後姿を見送ったあとその足で山田さま親衛隊に入隊したらしい。


そう、優飛と同室になった転入生の勇希。
なぜ勇希の近くに村上が居るのかというと、彼が優飛に無礼を働かないか見張る…というのは建前で、本音はあわよくば優飛とお近づきになりたい!である。

今のところその願いはちっとも叶っていないわけだが。


「なーあー?たかしー?孝ってば!このバッチなんなんだよー?」



山田さま…いや、優飛さま…。
と、バラのバッチを握り締めつつ遠くを見つめる村上。


ゴミでも見るようなあの視線。
上品で、天使のようで、ムシも殺せぬような顔をしておいてあの目は反則すぎる。

頬をうっすらと赤く染めて、ほうと息を吐く。

その姿はさながら恋する乙女のようであった。
内心が優飛に罵られたい蔑まれたいという、とんでもないものであっても。


おーい、と顔の前で手をふる勇希に目もくれず、村上はうっとりと優飛に罵られる日を夢見るのであった。





ただの変態です。
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