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こんにちは、今日はわたしの息子たちを紹介しよう。
ああ、わたしは桂木京夜。陸の実父で稜くんの義父だね。そして愛しの優衣さんの夫!

わたしが社長を務める会社は、大手と呼ばれるものだ。会社が安定してるのは嬉しいが、半端じゃない忙しさ。おかげで前妻の死に目には会えなかったし陸のこともほったらかし。とても酷い父親だっただろう。現に、早くに母を亡くした陸が、人と接するのが不得手だと知ったのは彼が小学生のときだった。偶然休みがとれて、陸に構いに行ったら、首を傾げて怯えたように誰だと聞かれたのだ。・・・あのときのショックは一生忘れない、今でも涙が出そうだ。そしてその時の使用人たちの慌てふためく様も忘れない、面白かったから。
これでも陸を大切に思ってるわたしは、それから必死で暇を見つけては陸にかまった。かまってかまって構い倒して、疲労で陸が倒れて、陸の幼馴染の譲くんにすごく怒られたのを憶えている。陸は人見知りが激しく、また他人と接するのを酷く嫌がる。親なのに、陸の中で他人にカテゴライズされているわたしと接する機会が多すぎて倒れてしまったのだと。烈火のように怒る譲くんの言葉を聴いてすごく後悔した。ごめん、ごめんな陸。青白い顔をして眠る陸に、触れることすら戸惑われた。
それから譲くんのアドバイスのもと、どうにかこうにか父親として認識されたわたしは、陸からスキンシップをしてくれるようになったのを機会に、前々から付き合いのあった優衣さんにプロポーズした。それくらいテンションが上がってたわけだね。だって自分からスキンシップしてくるくせにちょっと照れたりするから、やばいくらい可愛いんだよ陸。



優衣さんにも連れ子が居ることを聞いて不安を感じなかったわけじゃないが、きっと優衣さんに似て心優しい子なのだろう、と言い聞かせた。

そして緊張のご対面・・・のはずだったんだけどね。どこで知り合ったのか、陸と稜くんはとても仲良しだった。・・・べつに、悔しいだなんて思ってないからね。あんなに頑張ってやっと"父親"になれたのに、陸と稜が普通の兄弟よりも仲良しだったからって嫉妬してないんだから・・・!・・・と冗談はここまでにして。
さすが優衣さんの息子、稜くんは今時の子にしては信じられない程いい子だった。そして気がきく。綺麗好きそうで潔癖そうな見た目に反して、実はものぐさな陸の世話を甲斐甲斐しく焼く彼。ご飯よりもお菓子を食べる陸を怒り、伸ばしっぱなしの髪の毛を定期的に整え、果てには他人と接触して泣き出した陸を慰める稜くん。最早どちらが兄で弟なのかわからない今日この頃。

「稜、・・・」
「陸、あんまりくっついてるとお菓子作れないよ」

相変わらずべったりと稜くんにくっつく陸。ボールと泡だて器を持った稜くんは苦笑して、それでも抵抗しない。稜くんの首筋に鼻を摺り寄せる陸は、見た感じの雰囲気だけでいうと、兄弟というよりも飼い主とペット。あるいは夫婦。ああ、夫婦は譲くんと陸かな。

なんにせよ、ブラコン同士な彼らを、わたしと優衣さんは毎日楽しく見守っていたよ。いまは二人とも全寮制の学園に入ってしまったから、その姿をみることは叶わないけど。まあ二人のことだ、周りの空気なんでそっちのけでラブラブなブラコンっぷりを発揮してるんだろうね。


わたしの自慢の、息子達のはなし


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智さま、リクエストありがとうございました!
ブラコンだなあ、と二人を見守りつつ、自分も親馬鹿な父(京夜)視点でやってみました。こんなんでよろしいてしょうか?執筆楽しかったですv

100327/ミケ


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