1 | ナノ
クッションを抱きしめて、ソファの上にちょこんと座る陸。陸の肩に頭を預けて眠る譲を横目で眺めて、口の中で飴玉を転がす。無防備な顔を覗かせる譲に幸せな気持ちになりつつ、小さくなった飴を奥歯で噛み砕いた。
ガリッ、
「・・・ん、」
噛み砕いた微かな振動が伝わったのか、譲は薄らと瞳をあける。
「・・・陸、・・・いま何時だ?」
「6時40分、・・・まだ寝てて、いい」
「いや、・・・起きる。大丈夫だ」
肩から頭を離して、ちいさく欠伸を漏らす。無くなった体温を惜しく思いつつ、抱きしめていたクッションを横に置いてソファの上で身じろぎ、譲の方に身体ごと向く陸。どうした?首を傾げる譲の手を、ぎゅ、と握り締めた。
「・・・もっと、休んでいい、・・・のに」
ちょっとだけ目を伏せて、ぽつりと呟く。
陸の言葉に譲は目を見開き、そして淡く微笑んだ。
「・・・なら、もう少しだけな」
「ん、・・・」
譲の手を離して、そっと手を伸ばす。陸の瞳と同じ、青いメッシュの入れられた黒髪を撫でる陸は、小さく微笑む。いつもは自分が撫でる側なのに、陸に撫でられて譲は破顔した。頭を撫でる手に誘われるまま、陸の膝に頭を落とす。
甘やかな静寂の中、うつらうつらと瞳を閉じた。
不意に耳元で聞こえた可愛らしいリップ音と言葉に、譲は目を閉じたまま笑う。
「おやすみ、・・・いいゆめを」
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安佐香さま、リクエストありがとうございました!
陸が甘やかす、というのは初めてでしたので、執筆とても楽しかったです^^
100326/ミケ
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