常、つまり
  よくある光景


(陸のクラスメイト視点)

桂木くんが授業に出るようになって、最初は戸惑いも多く授業もままならなかったけれど、それが日常になってきた頃。

「りーくー」
「・・・譲?」

がらりと教室の後ろの扉を開けて桂木くんの名前を呼ぶ人物に、多分教室に居た全員が驚いたと思う。二年にして風紀委員長の座につき、風紀委員のくせに襟足の長い黒髪に青メッシュをいれたその人、麻埼譲くんが手に何かをぶら下げて入ってきたのだ。

間延びした声で名前を呼ぶ麻埼くんに、桂木くんは首を傾げて疑問符を浮かべる。普段はかっこいいのに仕草は可愛いって反則だよね・・・!桂木くんは一々仕草や喋り方が可愛すぎてやばい。いつか襲われないか不安なくらいやばい。

「昼飯食べようぜ」
「食堂は、」
「いや、だろ? オレお手製の弁当、持ってきたから屋上で食おうぜ」
「譲が・・・作った、の?」
「食べンだろ?」

手にぶら下げていたのはなんと、麻埼くん自ら作ってきたお弁当だったらしい。ああ心なしか桂木くんの目が輝いてる・・・ってことは麻埼くん料理上手なのかな? 可愛らしい青い袋に入れられたそれを桂木くんに見せるよう持ち上げて、ニヤリと笑う麻埼くん。かっこいい。

こくり、と頷いた桂木くんは、いそいそと筆記具をなおして席を立つ。そして麻埼くんは隣にたった桂木くんの腰に、本当に自然に手を回した。ざわつく教室。あ、あの二人ってそういう関係なの・・・!?ショックなような、納得なような・・・!

教室の雰囲気に気付いてる麻埼くんは、にやにや笑って桂木くんの腰をさらに引き寄せる。そして気付いてるのか気付いてないのか、桂木くんの目は麻埼くんの手にあるお弁当に釘付けである。向けられる視線には気付いてなさそうだ。

「ゆず、はやく行こう、」
「わかってるって。」
「売店で、プリン・・・」
「用意してある。飲みモンもあるから安心しろ」

普段ご飯を食べてる姿を見ないのに、麻埼くんの作ったやつは早く食べたいらしい。
まるで夫婦みたいな会話を繰り広げる二人に、完全に教室の生徒は置いてけぼりを食らってる。空気的に。

「譲、はやく」

きらきらーっとオーラを輝かせた桂木くんをみて嬉しそうに笑う麻埼くん。中々歩き出さない彼に桂木くんは、腰に回った麻埼くんの腕をぺしぺしと叩いて歩くよう促す。

本当に可愛い。冗談抜きに、クラスメイトとしての贔屓目無しに可愛い。

そのまま連れ立って教室を出て行く二人。どうやら腰に手を回した密着状態のまま廊下を歩いてるらしく、教室の外から響いてくる悲鳴がはんぱない。

まあ、それも。次の日もその次の日も続く日常になってきたわけで。


二人の関係って一体?

(夫婦に見えるなんて内緒だ)






2010/03/19/


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