「陸せんぱーい!」
「屈んでかがんでーっ!」
「…? こんな廊下、で…なん、だ?」
「いいからっ、ほらほらー!」
「ちょっとここ来てっ、屈んで陸せんぱいっ!」
「…?」
「あっ、いい感じそこそこ!」
「ストップ! じっとしてて!」
「 ? 」
「「ちゅっ」」
「 !? 」
「あっ、驚いてるー」
「ほんとだ、驚いてるー」
「「陸せんぱいかわいー!」」
キャッキャウフフ。頬を合わせて、陸を見つめる彩音兄弟。ころころと可愛らしい笑い声をあげていた二人が、不意にわあっ!と悲鳴をあげた。
「ああっ!!」
「陸先輩あぶないっ!」
「え、…っ?」
ドンッ
ちゅ
「…ドン?」
「…ちゅ?」
きょとりと目を瞬かせる。目の前で発生した音を呟いて、こてりと首を傾げる双子の目には、陸と仁の姿が。
風太と颯太と陸の三人はちょうど曲がり角のところでしゃがみこんでいたため、廊下を曲がってきた仁が陸に気付かずにぶつかった音がひとつめ。ふたつめは、陸にぶつかってそのまま陸を巻き込みつつこけた仁の唇がうっかり、陸のほっぺたにあたった音であった。
「わあー! 出会い頭に押し倒すなんて大胆!」
「ほんと! 陸せんぱいを押し倒すなんて大胆!」
「ばっ、ちげえ! 事故だろどう見ても!」
「「大胆だいたんっ!」」
「道哉にいっちゃおー!」
「いっちゃおー!」
「だまれっ! ち、お前も静かにしてねぇで反論しろよ、おい!」
「…、とり、あえず…上から、ど、いて…」
「……。うわー…」
「……。うわあ…」
じとお
「……わっ、わるい…! っお前らは変な目で見るんじゃねえ!」
「「……見てないけどお…。」」
「…」
ばっと陸の上から飛び上がった仁を追いかける三対の目。じとりとした二対の目に、困ったような色をした一対の目に見つめられて、仁はそのまま脱兎の如く廊下を走り去っていった。
「っオレは! どうみても被害者だろうがっ!!」
両頬に口付け
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