最果てまでワルツ | ナノ
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 真新しい額当てを額に付け、わたしは緊張しながら家を出た。今日は、先日発表された班での顔合わせの日だ。母と相談して選んで新調した忍服にはまだ慣れない。
 これから会う人たちがいい人だといいなと、心から願いながら、集合場所であるアカデミーの一室に向かう。これからはアカデミー生が授業を受ける教室ではなく、下忍として受付所や待機所に通うのであると分かってはいるけれど、何だかまだ卒業していない気分になった。
 指定された部屋の戸は閉まっていた。集合時間前だけど、もうすでに誰か待機しているかもしれない。すう、はあ、と呼吸を重ねたあと、コンコンとノックをしてみた。反応はない。

「失礼します……」

 そっと引き戸を横へずらし、中を覗くと誰も居なかった。わたしが一番乗りのようだ。
 緊張が少しだけ解けて、備え付けのテーブルと、その周りを囲む椅子の中から一つを引いて腰を下ろした。部屋に時計がかかっていたので確認すると、集合時間まであと三分ほどだ。

 ソワソワする。ああ、早く来ないかな。いや、やっぱりまだ来てほしくないかも。でもこうやってソワソワするのがずっと続くのはいやだな。

 組んで膝の上に乗せていた手をモゾモゾさせていると、廊下から話し声が聞こえてきた。声質から男子だと思う。やりとりの詳細は掴めないけれど、声はだんだん近づいてきて、ついには部屋の戸の前で止まった。

「てめぇ、ぶっとばすぞ!」

 そんな言葉と共に勢いよく開けられたので、わたしの体は一度大きく跳ねたあと、全身の筋肉が凍ってしまったかのように固まった。
 現れたのは、肌が黒めの、背も体も大きく目が鋭い男子と、色が白く、柔らかな髪と整った顔立ちの男子。「ぶっとばすぞ」を発したのは、前者の方だ。

「ほら、あの子がびっくりしてるよ」
「俺のせいかよ!」

 後者の男子が固まるわたしを見て言うと、体の大きな男子がまた大きな声を上げるので、正直わたしは泣いてしまいそうだった。怖い。見た目も怖いのに、声も大きいし、「ぶっとばすぞ」なんて言うし。

「あら? こんなところで何してるの? ほら、入って入って」

 出入り口に立ったままの二人の後ろから、さらにもう一人。男子二人よりも若干背が高いので、その人の赤い髪だけがよく見えて、かろうじて声だけで女性だと分かった。
 男子二人は女性に促されるように入室し、中ほどまで来るとそこで立ち止まる。女性は額当てをしていて、中忍以上に支給される、緑色の木ノ葉のベストを身に着けていた。

「さっ。じゃあ、顔合わせといきましょう」

 女性は持っていた書類綴じを振って、パチンとかろやかにウインクをする。わたしは慌てて椅子から腰を上げ、男子二人から少し離れた位置に立って、背筋を伸ばした。

「私はうずまきクシナ。この班の上忍師を務めることになったわ。よろしくね」

 この人がわたしの上忍師。女性教師はアカデミーにも居たけれど、クシナさん――クシナ先生は、アカデミーの教師よりも若い。赤い髪の人は初めて見た。意志の強い目に射抜かれるようにまっすぐ見つめられて、無意識に頭を下げて礼を取る。きれいで優しそうな人で、わたしがイメージしていた上忍師よりずっと話しやすそうでホッとする。

「それじゃ、そっちの彼から自己紹介してくれる? 名前と、あとは特技とか、これからの目標とか」

 クシナ先生が指し示したのは、色白の男子の方。男子は柔らかい髪に指を通したあと、その手を胸に当てて優雅な礼を取った。

「僕は月下ヨシヒト。そう、わずか一夜にだけ甘く咲き誇る『月下美人』の化身であり、美の伝道者です」

 『月下美人の化身』だとか『美の伝道者』だとか、よく分からない。月下美人の花は知っているし、自信満々で言い切った彼は確かに顔が整っていて、女の子と言われてもおかしいとは思わないくらいの容姿をしている。でもよく分からない。

「特技は、美しさを引き出すことです。花も空も皆、美しいのです。人も同じです。岩のようにゴツゴツした顔立ちだろうと、大根が下ろせてしまいそうな肌だろうと、人は皆、その人だけの美しさを持って産まれてきたのです。僕はこの世の万物全てから、その美しさを引き出したい。それこそが美の化身たる僕の使命だと思っています」

 どこか芝居がかったような口調と身振りで、月下さんは真剣な眼差しをクシナ先生に向けた。クシナ先生は苦笑いだ。

「あ〜……あの。忍者としての特技とか、目標でお願いできるかしら?」
「おっと、失礼しました。特技は幻術です。以前の班は、メンバーの一人が忍をやめてしまったので、解散になりました。木ノ葉の里が美しの里と呼ばれるために、この班を、木ノ葉一の美しい班に導くのが、僕の目標です」

 改めて、今度は忍者としての自分を自己紹介し、一応目標も掲げてくれた。月下さんの求める『美しい班』って、どんな班なのだろう……。
 クシナ先生がもう一人の男子に目配せすると、組んでいた腕を解いた彼が口を開いた。

「海辺。特技は医療忍術」
「えっ」
「あん?」
「あっ、……ご、ごめんなさい」

 全身に厚い筋肉がついていて、日に焼けた姿はいかにも戦闘が得意に見えるのに、医療忍術が得意だというギャップに驚いて声を上げてしまった。睨まれてしまったので慌てて謝り、さっと目を逸らす。やっぱり顔、怖い。

「前の班は、上忍師が前線に出っ放しなもんで、解散された。目標は……まあ、仲間を死なせないようにすること……です」

 ぶっきらぼうな口調で進め、最後はクシナ先生へ向けて「です」を付けたし、海辺さんの自己紹介は終わった。

「こーら、ナギサ。自己紹介はちゃんとしないと」
「その名前で呼ぶな! ぶっとばすぞ!」

 月下さんが海辺さんの肩にポンと手を置くと、海辺さんは怒号とも取れる声を上げる。恐ろしさにまたビリビリと体が震えてしまった。月下さんは全然怖くないのか、わたしに向かってニコッと穏やかに微笑んだ。

「本名はね、『海辺ナギサ』だよ。僕らはこれから命を預け合う仲間なんだから、遠慮なく『ナギサ』って呼んであげて」
「おい。勝手に決めてんじゃねぇぞ」
「『ナギサ』って名前が、女の子みたいに可愛い名前だから、本人はちょっと気にしているみたいなんだ。美しい名前なのにね」
「分かってるならいじるな!」
「あと、『ぶっとばすぞ』は口癖だから気にしなくていいよ」
「人の話聞け! ぶっとばすぞ!」

 月下さんが海辺さんの本名を教えてくれて、『ナギサと呼べ』と気軽に言ってくれるが、それは無理な話だ。またぶっとばすぞって言った。怖い。

「二人は前から知ってる仲なの?」
「同期として、アカデミー時代より、美しい日々の一ページを共に綴りました」
「気色悪い言い方すんな」

 クシナ先生が問うと、月下さんがにこやかに言い、海辺さんはもう怒鳴る気にもなれないのか、ゾッとした顔で突き放す。確か二人は一期上だと聞いているから、覚えている人かなぁと思ったけれど、残念ながら記憶にはない。

「君の美点は荒々しさの中に光る、照れ屋さんなところだね」
「ぶっとばすぞ」

 月下さんは海辺さんなんて恐ろしくないのか平然と続ける。怖いもの知らずなのだろうか。あと、本当に口癖なんだ。医療忍者なのに、『ぶっとばすぞ』なんだ。

「それじゃあ、最後は貴女ね」
「は、はい」

 先生がわたしに声をかける。残りの二人がわたしにサッと注目するのを肌で感じながら、わたしは拳を握りしめて三人に向き直った。

「かすみサホです。特技……は、すみません。これと言って思い浮かびません。目標は……皆さんの足を引っ張らないように、頑張ります……」

 我ながら、何とも情けない自己紹介だった。特技も言えず、目標も大分後ろ向きなものになってしまった。せめて言い方をもう少し言い方を考えればよかったけれど、先輩方二人に圧倒されて、そんなことができる状態じゃなかった。

「大丈夫! 先輩のヨシヒトとナギサも居るし、不安になることないってばね!」

 不安なわたしを心配してくれて、クシナ先生が傍に寄って、背中をポンと叩いてくれた。

「まあ、私も今日から上忍師なんで、偉そうなことは言えないけど……一緒に頑張ろう!」

 頭の後ろを掻いて、苦笑いを浮かべて言う先生は、『先生』というよりは、近所のお姉さんに近かった。
 わたしが新米下忍なら、先生は新米上忍師。ベテランの先生の方が安心感は増すだろうけれど、共に頑張ろうとクシナ先生は言ってくれたので、強張っていた体からゆっくりと力が抜けていった。
 クシナ先生はいい先生に違いない。『頑張れ』じゃなくて、『一緒に頑張ろう』って言ってくれるんだもの。

「先に伝えておくと、この班は最前線へ出ることはまずないし、もし出るとしても、班構成からして、他班と組むことが前提の班だと思ってちょうだい」

 わたしを含めた三人に向けて、クシナ先生が真面目な表情で続ける。

「幻術が得意なヨシヒト、医療忍者のナギサ。そしてサホ。貴女はアカデミーの教師から、封印術の素質があると説明を受けているの」
「封印術……ですか?」

 まったく予想していなかったことを言われて驚いた。封印術の素質があるなど、アカデミーで言われたことは一度もなかったし、自分でも思ったことはない。

「封印術っていうのは、ある程度は誰でも会得できるわ。結界忍術も封印術の一つだし、下忍以上であれば一つくらいは身に着けておくのが常識ね。だけど上級の封印術は、それに長けた一族だったり、それ相応の素質がないと上手く使えないの。結界だとか封印っていうのは、要は相手を――相手のチャクラを抑え込むことだからね。反発を受け流しつつ、漏らさず抑え込む……その辺はあとでまた詳しく教えるわね。私は封印術が得意だから、それもあってサホはこの班に配置されたのよ」

 わたしにも、向いているものがあったんだ。自分のことは、当たり障りない平凡な人間だと思っていた。オビトみたいに写輪眼を開眼できることもないし、はたけくんみたいに天才でもないし、リンみたいに医療忍者を目指せるほどでもない。わたしは父や母や兄がそうであるように、特出したものは何もないと。
 鳥肌が立った。わたしも何か、例えばさっきの自己紹介のときのように、『特技は封印術です』と言える日がくるのだろうか。考えるとワクワクする。早く教わりたい。早く身に付けたい。

「この班は戦闘に適したチームではないわ。特殊特化型ね。でも、前線の流れを左右する重要な役を担っているの。ヨシヒトの幻術で相手を攪乱させること、ナギサの治療で味方を回復させること、サホと私の結界忍術や封印術で敵の動きや目的を封じること。前線で戦う仲間を支えることが、私たちの戦闘よ」

 両手を腰に当て、クシナ先生が一本ずつ、最後は二本同時に指を立て、計四本の指を見せる。このメンバーの特徴を考えると、直接攻撃ではなく、間接的な部分で戦闘を補佐する班だということがよく分かった。班を組む際は、戦力や能力別にバランスよく配置するのかと思っていたけれど、こういう形の特化型もあるのだろう。

「とは言うものの、実際に戦闘に巻き込まれて生き延びるためには、実戦にも強くならないとね」

 続いた言葉に、わたしは無言で頷いた。わたしたちに求められるものが戦闘ではないとはいえ、わたしたちだけで敵に応戦することも有り得る。わたしとしても、戦闘部隊に負けない程度に強くなりたいと思っている。

「まあ、とりあえずは、下忍に成りたてのサホが居るから、簡単な任務が続くと思うわ。その合間にでも、実戦訓練を重ねていきましょう」

 「はい」と三人同時に返事をすると、クシナ先生は満足そうににこっと笑った。

「任務はいつからですか?」
「今日は顔合わせだけだから、明日からの予定よ。任務開始の前に、親交を深めるべく、まずは……お昼でも食べに行くわよ!」

 月下さんの問いに簡潔に答えたあと、クシナ先生が拳を掲げてわたしたちに言う。壁の時計はまだお昼前だけど、早めの昼食だと思えば問題ない。
 クシナ先生を先頭に、月下さん、海辺さん、わたしの順で続いていく。海辺さんは体ががっしりとしていて縦にも横にも大きいので、わたしは彼と少し距離を空けて歩かないと、視界の多くが海辺さんで埋められてしまう。しばらく歩いてアカデミーを出る辺りで海辺さんがそれに気づいたようで、足を止めた。

「別に取って食いやしねぇよ」

 振り向いた海辺さんは鋭い目でわたしを捉える。距離を置くわたしが、海辺さんを怖がっているからだと思われたらしい。

「いや、あの。海辺さん、大きいから、近いと、前、よく見えなくて」

 つっかえながら、何とか『海辺さんの体が大きいので、距離が近いと前方がよく見えないので離れて歩いていました』と伝えると、海辺さんはちゃんと察してくれたらしく、サッとわたしの後ろについた。

「俺が後ろを歩けば問題ないな」
「は、はい……」

 海辺さんが後ろに回ってくれたことで視界は開けた。少し先の方で、立ち止まっているわたしたちを待っているクシナ先生と月下さんも楽に見える。
 前に海辺さんが居るのもドキドキしたけど、後ろに居られるのもドキドキする。威圧感というか、存在感がヒシヒシと伝わってくる。先生たちを待たせてはいけないと、小走りで傍により、再び陣形を整えてわたしたちは歩いた。

 クシナ先生が選んだお店は、アカデミーから近い定食屋。いつも格子窓が開いていて、そこから店内の美味しい匂いが漂ってくるため、この道を通るときはよくお腹が空いた。一度も入ったことはないので、いつも通り過ぎるお店に入るというのが、非日常感があって少し楽しみだ。
 ちょうど四人掛けの席が空いていたので、わたしとクシナ先生、月下さんと海辺さんで分かれて座った。

「今日は私のおごりだからね。好きなものを選びなさい」

 全員が見えるようにと、テーブルの脇に立ててあるメニュー表を抜いて中央に置く。

「俺は生姜焼き定食で」
「僕は豚キャベツのおろしポン酢定食でお願いします」

 男子二人はメニューをさらっと見たあと、ほぼ間を置かずに決めた。わたしも早く決めねばと、焦りながらメニュー表に目を落としていると、

「あ」

と隣のクシナ先生が声を発し、顔を上げると、先生の頭上でパタパタと小鳥が羽を動かし旋回していた。

「鳥……?」
「連絡用の使いの鳥だよ」

 月下さんが説明した通り、鳥の足には筒が取り付けられていて、その中から丸められた紙をクシナ先生が取り出し、広げて読み始める。

「あー……呼び出しだってばね」

 はあ、とため息を付いたクシナ先生は、財布を取り出すと現金をいくつか抜いたあと、テーブルにトンと置いた。

「ごめんなさいね。三人はこのまま食べて、あとは解散して構わないわ。明日はアカデミーの受付所が開く頃に集合ね。それじゃ」

 申し訳なさそうに手を合わせ、これからのことと、明日のことについて指示を告げると、クシナ先生は席を立って定食屋を出て行く。連絡用の鳥は、定食屋のいつも開けっ放しにしている窓から飛んでいった。
 あの窓がいつも開いている意味が、今初めて分かった。店内をよく見れば、額当てをしている人の割合が多い。ここは忍御用達だから、ああやって鳥が入ってきやすいようにしているのだろう。

「先生も忙しいみたいだね」
「そりゃ今は戦争中だからな。サホ、決まったか?」
「あっ……まだです。えっと…………日替わり定食にします」
「了解。すみません、注文をお願いします」

 早く決めねばと焦ったわたしは、端の方に『日替わり定食』の文字を見つけ、もうこれでいいやと口にした。月下さんが店員を呼び、三人分の注文を頼む。
 一段落して、テーブルにお冷がないことに気づいた。どうやらセルフサービスのようだ。ここは後輩のわたしが持ってくるべきだろうと、お冷のサーバーに向かい、三人分のお冷を注いだあと、備え付けのお盆に乗せて戻った。

「海辺さん、どうぞ」
「おう。サンキュ」

 声をかけながらお冷のグラスを海辺さんの前に置くと、ぶっきらぼうだけどお礼を言った。何となく言葉にはしない人だと思っていたから、意外だなぁと失礼なことを考えてしまった。

「月下さんもどうぞ」

 二つ目のお冷のグラスを月下さんの前に置くと、彼は「ありがとう」と微笑んだあと、

「ヨシヒトでいいよ」

と付け加えた。苗字ではなく、名前で呼んでくれ、とのことらしい。

「あ、ヨシヒトさん?」
「違う違う。ヨシヒト。呼び捨てでね」

 ヨシヒトさんと呼び直すと、今度は呼び捨てにしろと催促されてしまった。苗字ではなく名前で呼ぶのはそこまで抵抗はないけれど、呼び捨ては無理だ。先輩だし、初対面だし、ハードルが高すぎる。

「僕らはチームメイトだろう。先輩としてサホに教えることはあるかもしれないけれど、立場は同じだよ。敬語もなしで、フラットな関係でいよう」
「ふ、フラット……ですか」

 わたしの内心を覗いたかのように、月下さんはわたしの考えをやんわり否定し、敬語もやめろと重ねてきた。呼び捨ても敬語なしも、かなり難易度が高い。月下さんはともかく、海辺さんはどう感じているか。

「ナギサもそれでいいよね?」
「まあ……さん付けされてもむず痒いしな。でも俺のことは名前じゃなく――」
「はい! じゃあほら、練習。ヨシヒト、ナギサ、ヨシヒト、ナギサ」
「勝手に決めんじゃねぇっつの! ぶっとばすぞマジで!」

 海辺さんが月下さんに怒鳴るけれど、月下さんはどこ吹く風でまったく意に介さず、わたしに向けてずっと「はい、ヨシヒト、ナギサ、ヨシヒト、ナギサ」とわたしに復唱を迫る。

「よ……ヨシヒト……さん」
「ヨシヒト、ね」
「ヨシヒ……ト」
「うん」

 さん付けをなんとか堪えると、月下さん――ヨシヒトはにこっと微笑んだ。中性的な美形の笑顔は、かなりきれいなものだ。
 そっと、ヨシヒトの隣に目を向けると、頬杖をついている海辺さんと目が合う。海辺さんは無言でこちらを見ている。鋭い目つきのせいで、睨まれているのか見つめられているのか、いまいち境界線が分からない。

「な、ナギサ……?」
「……どもるのは直しとけよ」

 それだけ言って、海辺さん――ナギサは頬杖を止めると、椅子の背もたれに体をグッと預け、店内を観察するように頭を傾けた。

「さあ、これで僕らは真の仲間になった。木ノ葉の里を彩る、美しく華麗な班の誕生だよ」
「うぜぇ。ぶっとばすぞ」

 にこやかな笑顔と両手を広げるヨシヒトと、眉間に皺を寄せて口癖を呟くナギサ。個性の強いメンバーに対し、個性のないわたしは、愛想笑いを返すだけで精一杯です。



12 新たな出会い

20180430


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