多くの誰かじゃなくて、たった一人を欲しくなるのはなんでだろう。 多くの誰かに愛されることで満足できないのはなんでなんだろう。 一番になりたくて、どんどん醜くなる。 一番じゃないと分かれば捨てたくなる。いや、捨ててしまう。 誰でもいい、誰でもいい、誰でもいいから、一番だと言って。 誰か、誰か、誰か、 もがいていても、結局そんな人間なんて居ないってどこかで自分が言うのも聞こえていた。 だから、こんな日々が来るなんて思ったこともなかったんだ。 夜目には眩しい明るい夜だった。 星が冴えすぎて、夜中だというのに空は青に近い。蛍光的な色におもちゃのような月が浮かぶ。 いくらがんがんに冷房をかけていたって決して寒くなることはない常に温かいベッドの中。 「おまえ…泣いてるのか?」 「…こういうときは見て見ぬふりするもんなんだよ」 「……、どうしたんだ?」 「そういうのは聞かないものなんだよ」 「……、」 「わっぷ、」 身体がすっぽり収められる、この感覚。 何を言ったって結局は絶対に変わらない、分かってくれる、そのことが、 「どこにも行かないで」 「俺のこと嫌いにならないで」 束縛しても、何を言っても、 「シズちゃんシズちゃんシズちゃんシズちゃん」 いつまでも続くなんて思わない。 それでも、そんなことなんてどうでもよくなる、今がここに 「愛してるよ」 ありふれた、いらなかったはずの言葉を手放せない。 ___ 単純しずちゃんがかわいいというお話でした(´・ω・`)? |