それは、気配と言うか空気と言うか。

胸がざわざわとするのだ。それで目を覚ます、と、やっぱりだ。臨也が目を覚まして神妙な面持ちで心持ちゆっくり呼吸していた。

「いざや…、しんどいのか?」

臨也はこくりと一つ頷く。

「ちょっと、息…苦しい」

覚めたばかりな頭は回らないまま、それでも俺も体の中身がきゅってなる。

「ごめ…、起こしちゃって」

「お前だって起こされてんじゃん」

別に臨也に起こされたなんて思ってねぇ。
全部は臨也をしんどくさせてるやつがわるい。

「何か取って来るか?」
「……ううん、だいじょぶ、ありがと」

またへらへら笑いやがって。
ムカついたけど怒るわけにもいかないので(気を使わせたのは俺のせい)、腕を伸ばして頭をわしゃわしゃ撫でておく。


「し、ずちゃん」

臨也がこちらに手を伸ばそうとするので(実際は動いてなんかいないけど)、先にこちらから距離を詰めて臨也に腕を回す。

はやく良くなれ。

何度も心で唱えながら腕に力を込めた。
俺には、新羅じゃあるまいし、そんなことしかできないけど、冷たかった臨也の身体が俺とくっついているところから、じわじわ、溶けるみたいに温かくなってゆくのを確かに感じる、それは自己満足に過ぎないけれど、すごく温かい。

少しずつ俺たちは一つに近づいているんだ。



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寝てても以心伝心




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