※臨也にはあはあごほごほ
 言わせたかっただけ
※超短文
※family設定かもしれない



隣で寝ている臨也さんの具合が悪くなったようですよ。そのとき静雄さんは?



→狸寝入り静雄
→いつまでもわたわたする静雄
→いじめっこ静雄
→慣れている静雄























1.狸寝入り静雄

乱れた呼吸が隣から聞こえる。
臨也が発作を起こしたようだった。ひゅーひゅーと危うく繰り返される、それは呼吸とは呼べないようなものだったけれど。
俺には何もできないので、何もしない。唯一出来ることと言えば、何もなかったふりをすることぐらいだけだろう。
いつかは、この距離が変わるのだろうか。試しに、隣で寝返りをうってみるけど、臨也の手がこっちに延ばされることはなかった。もっと俺が頼れるような人間だったなら、こんな風ではないだろうに。でも、俺は何にもできないのが現実だから。じわじわと、閉じているはずなのに、眼球が熱くなってきて、臨也にこれだけは気づかれまいと、唇を強く噛んでおいた。







































2.いつまでもわたわたする静雄


「いざや!?」
「はぁはあ…げほっごほげほ」
「だ、大丈夫か!?く、くすり、救急車!?」
「だ、ぃ…じょぶ、だか、ら、」
笑われてしまった。それどころじゃないだろうに。
それにしても、俺はつくづく臨也のこの言葉に弱い。
「大丈夫なんだな…」

本当かよ、これ、大丈夫なのか?どうしたらいいんだ?
それでも、臨也の言葉だけは信じることにしていた。大丈夫じゃないときは、そう言うやつだし。
俺にはどうしようもなく、とにかくそれ以外に何も思いつかないので、思いっきり抱きしめておく。咳をするたびに腕の中の身体が震えて、その都度びくびくしてしまうのだが、当の本人は特に抵抗するでもなく、俺のシャツをつかんで、胸に顔をうずめてくるので、これで正解なんだろう。そう自分に言い聞かせてもう一度強く抱き寄せた。








































3.いじめっこなしずお



「あのよ…、息切れしてる奴ってエロいよな…」
「はっ?!し、ね!ごほっげほげほ」
「いやいやまじで」

なんなんだこの男は。真顔で何を言ってるんだ。人がこんなに苦しんでるってのにさ!
人間性を疑うね、まったく!

「そうだ、こういうのはどうなんだ?」
「え……?」

なに、なに、ちょっと待って、

「そ、れ、いやっ」
「まあまあ」

まあまあじゃねえよ!折角おさまってきたのに、シズちゃんが出したのは紛れもない煙草だった。

「うぁ、やめっ…ひっ……ごほごほごほっげほげほ」
「おおお、すげえ」

本当信じらんない!こいつ人が苦しんでるとこに煙を吐いてきやがった。

「し、ね!!!!」

ありったけの力で蹴っ飛ばしてみた。シズちゃんはにたにた笑ってるだけだった。この変態め!
























4.慣れてる静雄



春が近い。そんな匂いのする夜だ。いつまで続くのだろう、なんて思うのを止めたのはいつからだったか。


「はぁっ、はあっ、は」

「臨也?」

やけに風通しが良いものだから、目が覚めてしまった。どうやら密着していたはずの臨也が、離れたかららしい。
こんな事でいちいち起きていたら臨也は気にするんだろうが、俺だって気にしない方が気になる訳だからお互い様だ。


「だいじょーぶか?あ、くすり?」

寝ぼけた声しか出なくて、自分で自分にびっくりした。
臨也はいつもの発作が起きたみたいで、まあ薬を吸入すれば治まるだろうけど、薬を取りにここを離れたようだった。それはこちら側の棚にあるのだ。さすがに俺がとってやろう。

ベッド脇の棚に手を伸ばして、引き出しをごそごそすればすぐにそれに行き当った。

「ほれ」

「…っ、はぁ、…っ、ごほごほごほっげほっげほ」

慣れたもので、何ら滞りなく臨也に薬が吸い込まれていく。
これであと10分か20分もすれば治まるだろう。そんなにひどくもなさそうだし。

俺の横に体育座りで丸まって、はふはふと息を続けている。
窓を見れば、ほんの僅かに、空の白んでゆく気配を感じた。時計を見れば4時を過ぎたころだった。二人で眠りについたのは2時過ぎだったはずだから、2時間か。

「…はぁっはぁっ、ふ、は、げほごほ」

ぎりりと強く握られるシーツがくしゃくしゃと形を変えていく。それを見ていいのか、目を逸らせばいいのか分からなかった。
慣れてしまうのは、怖い。








































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