ショートショートショート
お話未満のもうそう
他ジャンルもりもり



4/8 21:13
(しずいざ・虚弱)

※幼馴染パロ
※来神




俺の家の前には大きな桜の木がある。
二階にある俺の部屋の窓は、この季節になると必ず、一面が花に埋め尽くされ、視界がいっぱいに桜色が広がる。

「桜、きれいだね」
「ん?そうだな」

今日は風が強いようだ。春一番かな。枝が大きく揺れで、扇をあおいでいるようにきらびやかに見える。

「具合よくなったら、外に見に行くか」
「俺元気だよ?」
「はいはい」

季節の変わり目はいつだって、体にこたえるもので、この花が咲いているのを外で見たことはあまりなかった。
シズちゃんは俺に付き合って、毎年ここから一緒に眺めてくれた。俺はそれで満足していた。シズちゃんと見れればそれでいい。

「窓開けるか」
「寒いのは嫌だな」
「今日あったかいぞ」
「本当に?じゃあ開けて」

つよい風が吹き込んでくる。カーテンが大きく舞い上がった。春の匂いがする。気持ちいい。空気は程よく冷たかった。

「水いるか?」
「ジュースが良い」
「ジュース?オレンジしかなかったと思うけど」
「ええー、グレープフルーツ買ってきてよ」
「なんで俺が、」
「嘘」
「は?」
「行かないで、ここに居て」
「はいはい」

あきれたような声で言う割にシズちゃんの表情はやわらかかった。
風に吹かれてシズちゃんの前髪が揺れる。のぞいたおでこが可愛いから思わず手を伸ばして、シズちゃんが俺にしてくれるみたいにおでこに手をくっつけてみた。


「なんだよ」
「べつにー」

何にも言わないでいたらおでこに当てていた手をつかまれた。
シズちゃんの手は子供みたいに温かいので気持ち良くて指を絡めてみたら、もう一度ぎゅっとつかみなおされた。


「早く学校こいよ、お前居ないとつまんねえ」
「シズちゃんが学校行かなきゃいいんじゃん」
「……そうか」
「そうだよ」
「よし、明日はさぼる」
「はあ?馬鹿か、駄目に決まってるだろ」
「いや、もう決めたから。大体お前が言い出したんだろ」
「馬鹿だねえ」
「お互いさまだ」


「シズちゃん」

手をぐっと引っ張って、目をじって見て、名前を呼ぶ。

キスしての合図だ。


ふんわり笑って近づいてくるシズちゃんは桜の花びらに囲まれて、きらきらして見えた。

________

甘―――い!
もうやだこの人たち……w





1/10 11:45
(しずいざ)


三連休の中日のこと


目が覚めると、手がスースーしていた。寒い。
シズちゃんってば、ひどい。
手を繋いで寝てたはずなのに。それで、もっと近くにいたはずなのに。


しょうがないのでしばらく観察することに決める。うーむ、寝ててもやっぱりイケメン。
寝てるときのシズちゃんはちょっと子供っぽい。気持ちよさそうにすやすや、俺がもぞもぞしたってびくともしない。

小さい子供みたいに規則的に動く身体をみてたら、なんだかどうしようもなく愛しくて、暖かそうなシズちゃんに飛びつかずには居られない。
今度は隙間が無くなるようにぴったりとくっついて、俺ももう一回目を閉じた。
どくどく、伝わる。熱と音と。



(しあわせだ)












12/26 14:13
(しずいざ)

※同棲パロ


「お帰り、いざや」

鍵がないなあなんてドアの前でごそごそしていたら、俺が鍵を見つける前にがちゃり、扉が開いた。足音を聞きつけて、開けに来てくれたみたい。

「しずちゃんただいまー」

うれしくなってそのまま飛びつく。そんなことではシズちゃんはびくりともせず、また抵抗する事もなく、頭をぽんぽんしてくれた。

今日はシズちゃんがご飯をつくる番。リビングからはもう美味しそうな匂いがしてる。
夢みたいなことだ。

「手洗ってこい」

台所に立つシズちゃんはスウェットに人工的な金の髪で、ちょっとヤンキーの高校生みたいなのがおかしい。

ご機嫌で席につくと、温かそうに湯気をたたせたシチューがしっかり用意してあった。レパートリーが少ないシズちゃんのつくる料理は単純できちきちしてて温かい。


「今日ね電車で爆睡しちゃってさあ、いきなり耳元でシズちゃんが大声で、臨也!って叫んだのが聞こえて、それで飛び起きたらちょうど仕事先の駅でさあ、危うく乗り過ごしちゃうとこだったのに起きれたよ」

「そっか」

「なんだろうねー、不思議だ」

「とにかく仕事間に合ってよかったな」

「うん、ありがとうシズちゃん」

「いや俺じゃ無いけどな」

「確かに」

目を見合わせてくすくす笑う。他愛のない、下らない話なのにすごく幸せになれるのはシズちゃんのおかげだ。


「そう言えば今日な、」


「それがね、」


何でだろう。毎日毎日こんなに話しても話がつきない。本当に不思議。
だから俺はいつだってこの家に帰って来たくなる。ミルクたっぷりのシチューを口いっぱいに頬張ってゆっくり噛みしめた。



‐‐‐‐
久しぶりにしずいざっぽい!
いやむしろあなたたちは誰ですかw








12/18 12:58
(しずいざ)

うたた寝から目を覚ませば見渡す限りの窓が真っ白く曇っていた。
これは、外は寒そうだ。


暖房の暖かさが満ちている部屋での眠りは、外が寒ければ寒いほど深いものになる気がする。ことこと煮詰められるような感覚だ。
寝ぼけた頭で無性にあいつの声が聞きたくなる。
ソファでいつの間にか寝てしまったらしい、俺の上には見覚えのない柔らかい毛布がかけられていた。

あいつのにおいがするなんて変態じみたことが頭をよぎった。


覚醒しない意識のままあいつを探そうと歩き出す。フローリングは冷たくて歩く度にペタペタと音がした。


「シズちゃん?起きたの」

小さい子供に話すみたいな声に思わず顔が緩んだ。可愛いなあ臨也。

「しごと?」

久しぶりに声を出したら掠れていた。

「シズちゃんもうちょっと寝てると思ったからさ。ちょっと待ってて」

「嫌だね」

「え?」

せっかくの休日を仕事に取られてたまるか。臨也には何を言ったって無駄なので、無理やりに止めさせることにする。

「んっ」

口をつけて間に割り入る。
すごくあったかい。

こんなに簡単に一つになれる方法なんて他にない。

最初はむずかった臨也もすぐにその気になって舌を絡めてくる。苦いコーヒーの味がした。






‐‐‐‐
寝ぼけたしずちゃんが好きすぎですねw






12/13 13:57
()

下のお話は虚弱臨也さんですね
具合が悪くなって早退したその後の臨也宅でのお話しです

読み返したら何がなんだか分からずびびったw





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