※微裏
※某BL漫画パロ
※名前変換なし
「はぁっ、んっ...」
静かな放課後、今吉先輩に連れて来られた空き教室。手で押さえた口から洩れる声。響く水音。
「い、今吉せんぱっ...」
「ん、ちゅっ、何や?」
胡坐をかいた先輩に後ろから抱きしめられ、首筋や項を舐められたり吸われる。
「何で、こんなことっ」
「ワシの匂いつけとかんと、悪い男に食われてまうよ?ええんか?」
「や、です」
「ん、ええ子」
今吉先輩はふふんと耳元で笑うと、首筋を軽く噛んだ。甘い痛みが身体を走るが、それさえも快感に変わる。
この世には人類の他に、斑類という特別な遺伝子を持つ人がいる。先輩の魂現は黒豹で猫又の重種だが、半分蛇の目の血も引いているという。そして私はレア中のレア、先祖返りらしい。
先祖返りを孕ませれば、猿並みの繁殖力を持つ斑類が生まれる。それを狙っていろんな人に襲われかけた。それを助けてくれたのが今吉先輩であるが、最近彼にも貞操を狙われているのだ。
「あんっ、」
「ははっ、感じたんか」
私は、今吉先輩になら、何をされてもいいと思っている節がある。彼の放つフェロモンに、本能的にこの人だと思った。
でも、私が先祖返りだから、種付けしたいから、こんなことしてるのかもしれない。
(先輩は、私のこと、何とも思ってないんだろうな......)
「ふっ...ううっ...」
「な、なんや!?痛かったんか!?」
急にみじめになってポロポロと涙が流れた。今吉先輩が慌てたように私の涙を指で拭う。
「何かあったんか?言うてみ?」
「......嫌です」
「...せやかて泣いとるし」
「先輩は、」
「ワシ?」
「私に種付けしたいからこんなことしてるんですよね?」
(そこにきっと今吉先輩の気持ちは無いんだろうな......)
そう言うと、先輩は大きく溜め息を吐いて抱きしめる腕の力を強めた。更に密着して感じるフェロモンに身体が酔いしれる。
「そんな訳ないやろ」
先輩がぽつりと呟く。
「確かに他の斑類から遠ざけて種付けしたいと思うてる。でもな、ワシは君が先祖返りとして覚醒する前から目ェ付けてたで」
「え、嘘......」
「嘘やない。ずっと見てた。ずっと前から好きやった」
「!!」
嬉しくて、ただ嬉しくて泣いた。今吉先輩はクスクス笑いながら私の目元を撫でた。
「先輩、」
「ん?」
「私も好きです」
「はは、そうやないと困るわ」
優しく顎を救われ、唇を塞がれる。一瞬のそれに2人額をくっつけて小さく笑う。
絡めとられた指がもう離さないと言っているようで、私は嬉しくてそっと握り返した。
(浮気したら怒りますから)
(せえへんよ。なんたってワシ、蛇も入っとるし。しつこいで?)
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