Log1 | ナノ



※『幸せと黄色い鳥』つづき

※ギン目線。相変わらずキャラねつ造。








俺の主には、部下がひとりいる。

少し前までは別のひとりがいたが、主が出所するのと同時に、いなくなった。

そして入れ違いに彼女はやってきた。

小柄で華奢な女性で、名前はなまえといった。

背の高い主と並ぶと余計小さく見えるので、主はよくそのことで彼女をからかっている。

なまえ自身も気にしているらしく、決まって顔を赤らめて反論してくる。

その様子が、小鳥がさえずっているようで面白い…らしい。

ついでに小柄なことも、なまえの小鳥然とした雰囲気に拍車をかけているようだ。

主は俺達の仲間――いわゆる、鳥類――に、種類の分け隔てなく優しい。

だから、小鳥のようだと称するなまえのことも、かなり気に入っているように見える。

主はいつも「ずっと見ていても飽きない」と俺に言っている。

それはなまえがいない時に限定されるので、彼女が知ることはないのかもしれない。



しかし、そんな主の部下は、何故だか俺を嫌っているようだ。

いや、嫌うというよりは…怖がっていると言った方がいいのだろう。

扉を開けて俺と目が合うと一瞬固まるし、平然を装っていてもちらちらと俺の方に視線を寄越す。

何かした覚えはないのだが、中には“何となく”俺達が苦手という人間も存在する。

なまえもそういう人種なのだろう。

そう思っていた。

―――“彼女”と、会うまでは。



「…一度、『空』ってものを飛んでみたかったの」



そう言った彼女は、生まれてからずっと鳥籠の中で暮らしてきたという。

鳥籠。

俺にはこれまで縁のなかった空間だ。

従って彼女の気持ちを正確に理解することは難しいが、ひとつ想像をしてみる。

視界はいつも細い金属越し。

飼い主に出してもらえなければ、自由に飛ぶこともできない。

翼など何の意味も持たない。

7年間、刑務所という名の鳥籠に入っていた主なら、彼女の気持ちが分かるのだろうか。



あれ以来、彼女は姿を見せていない。

すぐ戻るつもりとはいえ、1度脱走したのだから、彼女の主は戸締りを強化していることだろう。

それ自体は悪いことではないのだが、何故だろう。

あの小柄で黄色い姿を見られないのは、とても…残念だった。



「…あの、夕神検事」

「何だ」

「ギンくん…さっきから外ばかり見てますね」

「ここ数日、ずっとあんな感じだよ」

「どうしたんでしょうか…」

「さぁな。恋でもわずらってんじゃねェか」




「こっ、恋!?」と何故かなまえはうろたえている。

それに対し、主は反応を楽しむように笑っている。

2人の言う「コイ」が何なのかは分からないが、人間から見ても今の俺はおかしいらしい。

いったい、どうしたというのだろうか。



「…ギンくん、」



すると、不意に名を呼ばれた。

見るとなまえがすぐ傍に立っていた。

ちょうど彼女と初めて会ったあの日から、なまえは俺を怖がらなくなった。

彼女の言葉が通じたとは思えないので、単に慣れたのかもしれない。

なまえは若干躊躇し、ゆっくりと手を伸ばしてきた。

じれったくなるほどの遅さだったので、痺れを切らしてこちらから頭を押し付けた。

ぴくっと華奢な手が跳ねるが、すぐに指でのどを撫でてくれる。

撫で方が主に引けをとらないほど巧いのは、いつも彼女を撫でているからだろう。

…彼女は今どうしているんだろうか。

そもそも俺は、名すら知らないことに気付く。

目の前の、彼女の主に聞いてみたかった。

なので、通じないとは知りつつ尋ねてみた。



「あなたの家にいるコザクラインコは、何という名前なんだ?」

「…え?」



一瞬、なまえの指が止まる。

すると、様子を離れたところから見守っていた主が、声をかけてきた。



「嬢ちゃん?」

「あ、いえ…」



なまえは取り繕うように、撫でるのを再開した。

今度、彼女をここに連れてきたりはしないか。

柄にもなくそんな願いを込めてなまえを見つめるが、ちょっとびくりとされただけだった。









君と孔雀の関係性







――――――――――

小鳥化夢主でもう1本。

ギンは本当にこんなキャラでいいんだろうか。

タイトルは、花言葉が「一目惚れ」の「孔雀草」から。

夢主これバレたらどうすんだ?(知らん)




20131008





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