※それぞれの妊娠報告SS



【夕神さんの場合】
「これより20分間の休憩に入ります!」

「夕神検事。次の証人ですが、証言したくないとゴネています」
「往生際の悪いこったな」
「縛ってでも証言台立たせますのでご安心を」
「頼もしいなァ。だがそう物騒だと嫁の貰い手なくなるぜ?」
「既に嫁に貰ってる人が何を言っているのですか」
「あァ、そうだった。たまに忘れちまうよ」
「まぁいいですけど。では、私もう一度証人の説得してきます」
「頼んだ」
「はい。……あ、そうだ。言い忘れるところでした」
「ん?」
「私、妊娠しました」
「……………は?」
「じゃ、また閉廷後に」バタン
「あ、お、オイ待て!」

「…なんか夕神検事上の空じゃない?」
「休憩時間に何かあったんでしょうかね?」
(なんであのタイミングで言うんだよ…!)


*動揺して証拠品間違っちゃったりしてたらかわいい。




【鬼灯さまの場合】
「…なまえさん」
「あぁ…鬼灯さんか。ここは…?」
「近所の病院です。仕事中に倒れたんですよ。覚えてませんか?」
「仕事中に?……生憎だけど、なんだかぼんやりして思い出せないよ」
「やはりもっと早く受診すれば良かった……こんなことに、なるくらいなら…」
「鬼灯さん?」
「私は、なぜ…何故、貴女の体調が崩れ始めた数日前に出勤したのか……仕事なんか休んで一緒に病院に行くべきでした」
「…今まで気付かなかったけれど…僕の体は、そんなに悪いのかい?」
「……っ…」
「正直に言ってくれ、鬼灯さん。どんな宣告でも、きみが告げてくれれば受け止められる気がするよ」
「…良いのですか?」
「ああ。…さぁ、妻に対して遠慮は要らないよ」
「…では……なまえさん、」
「……」
「………おめでとうございます」
「……………は?」
「だから、おめでたです」
「おめ…でた?」
「妊娠してるんですよ」
「…誰が?」
「貴女に決まってるでしょう、馬鹿ですか」
「バカって言うな!……にんしん、って…誰の?」
「動揺しすぎですよ。貴女、誰の嫁ですか?」
「鬼灯さん」
「そうですね。なまえさんは私の嫁ですね。…いくらなんでも、もうお分かりでしょう?」
「……じゃあ、具合悪かったのは…」
「悪阻ってやつです」
「………鬼灯さん」
「はい」
「病気でもなんでもないじゃないか僕!」
「病気だとは一言も言ってませんが」
「あの流れだったらよっぽどヤバイ病かと思うだろ!?」
「ともかくこれはめでたいです。私ちょっともう仕事手につかなそうなので、今日はずっとここにいます」
「仕事しろよワーカホリック」
「無理です。だって子供ですよ?」
「…やっぱり嬉しい?」
「当たり前です。貴女を嫁に貰った時と同じくらい嬉しいです」
「…すごい、ほんとに顔が嬉しそうだ」


*意味もなく僕っ娘が書きたかった。




【白澤さまの場合】
「…白澤様」
「あ、おかえりー。どうだった?」
「……できてました」
「やっぱりねぇ」
「分かってたんですか?」
「症状見てたら何となくね。…そこ座って?悪阻が楽になるの調合してあげるよ」
「結構です。私…帰ります」
「…どうして?」
「だって…子持ちの女は遊ぶのに不便でしょう。…今までこんな私に優しくして下さってありがとうございました、白澤様。……さようなら」
「ちょっと待って」
「…はい?」
「帰るかどうかはさ、これ受け取ってから考えてもらえないかな?」
「…!……指輪なんて、なぜ…?」
「んーと…そうだなぁ。……あは、きみが病院行ってる間に練習したんだけどな。ぜんぶ飛んじゃったよ」
「……?」
「こういうのはシンプルな方がいいよね、うん。…よし。なまえちゃん、僕と結婚して下さい」
「え…、?」
「ぜったい幸せにするよ、きみたち二人共。…信じてもらえないかもしれないけど、信じてくれる?」
「…言ってることが矛盾してますけど」
「うん、そうだよね。ごめんね、今ちょっと頭回らないんだ。嬉しくって」
「…うれしい?」
「だって子供だよ?しかもきみとの。今ならあのハシビロコウに何言われても許しちゃうよ」
「それは…相当嬉しいですね」
「でしょ?だから、さ。指輪、受け取ってくれないかな?」
「……嫌」
「……、っ…」
「なんて言うわけないじゃないですか」
「!えっ」
「その代わり、私たちのこと必ず幸せにして下さいね――お父さん」
「…ふふ。もちろんだよ、お母さん」


*スケコマシの年貢のおさめどき。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -